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令和元年(2019年)9月5日(木) / 日医ニュース / 解説コーナー

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しを受けて

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しを受けて

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しを受けて

 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」がこのほど見直された。
 今号では、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針見直しに関する検討会」の議論にも参画した今村聡副会長に、見直しのポイントなどについて解説してもらった。

 日医では、これまで「オンライン診療は本当に必要な方々に提供される」「適切なルールの下で実施される必要がある」「実態を把握するため、そして、オンライン診療に適した診療を見極めるため、エビデンスを収集する必要がある」「単なる要求(demand)ではなく、必要性(needs)に基づいて実施していく必要がある」という基本的な考え方の下に、オンライン診療を安全かつ適切に普及していくためには、ルールの整備が必要であることを強く訴えてきました。
 その結果、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が平成30年3月末に発出されたわけですが、同指針については、医療を取り巻く環境・情報通信技術は目まぐるしく進化することを踏まえ、「少なくとも1年に1回以上更新する」こととなっており、今回の見直しとなりました。

主な見直しのポイント

 見直しに当たっては、今年1月より同検討会で議論が行われました。
 主な見直し点としては、(1)オンライン受診勧奨・遠隔健康医療相談等の整理、(2)「対面診療との組み合わせ」「初診対面診療原則」や「同一医師による診療原則」の例外の追加、オンライン診療時に予測された症状への対応の整理、(3)適切な通信環境の明確化、看護師等が診療を補助するオンライン診療の明示、(4)オンライン診療を提供する場合の「研修」必修化―などが挙げられます。
 (2)では、例えば、離島・へき地などで「常勤の医師が1人のみである」もしくは、「非常勤医師が交代勤務をしている」これらの医師が、急病等で診療を行うことができない時、代診を立てることが原則でしたが、それが困難等の場合には二次医療圏内にある他の医療機関が初診からオンライン診療を行うことを認めることになりました。
 ただし、この診療を行うことができない医療機関では「既に対面診療」を行っていること、そしてその患者さんの情報も含め、あらかじめ医療機関の間で情報共有がなされていることが条件となっています。

緊急避妊薬のオンライン診療を例外的に認める条件

 また、国民の関心が高く、報道もされていましたが、「緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療での処方」については、さまざまな角度から議論を行い、例外として認めることとなりました。
 具体的には、まず、緊急避妊を要する女性が適切な医療機関にかかれるようにするため、相談窓口を地域ごとに設置し、ここから医療機関を紹介して対面診療につなぐ仕組みを構築することとしています。これが大原則です。
 その上で、近隣に対面診療可能な医療機関がない場合や、女性の健康に関する相談窓口等の医師(連携医師も含む)が「女性の心理的な状態を鑑みて、対面診療が困難」と判断した場合には、産婦人科医または厚労省指定の研修を受講した医師が、例外的に初診からオンライン診療を行うことを認めることとしています。
 ただし、①1錠のみの院外処方とし、受診者は研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服する②医師と薬剤師はより確実な避妊法を適切に説明し、受診者が、3週間後に産婦人科医による直接の対面診療を受けることを確実に担保する―ことなどを例外として認める条件とし、厚労省がこうした事項が遵守されているか実態調査を行うことになっています。
 検討会の議論の中で、要件として「3週間後の産婦人科受診の『約束』を確実に行うこと」とされていましたので、『約束』ではなく、確実に受診する仕組みが必要であると主張しました。
 また、「緊急避妊薬をオンライン診療で処方する医師は、産婦人科専門医、あるいは事前に厚生労働省が指定する研修を受講することを必須とすること」という要件については、産婦人科以外の医師が研修を受けることで処方が可能であるならば、地域の医師に同様の研修を行うことでアクセスポイントが増えるため、オンライン診療でなくても良いのではないかと指摘しました。
 加えて、現在30代を中心とした産婦人科の医師は半分以上が女性の医師であることから、「投薬をきっかけに女性が相談しやすい生涯の健康確保のためのかかりつけ医を見つけるチャンスを奪うことにもなり、オンライン診療を認めることになったとしても、極めて限定的な案件にすべき」と発言しました。
 その他、オンライン診療を実施する際には、情報セキュリティに関する知識が必要になることから、2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師にセキュリティ等に関する研修を受講することが義務付けられることになりました。
 この義務は、既にオンライン診療を行っている医師にも適用され、2020年10月までの猶予が設けられています。

オンライン診療発展のため指針に基づく適切な実施を

 オンライン診療は、今、黎明期にあります。へき地や離島などにいる医療機関へのアクセスが困難な患者が、対面診療と組み合わせて、かかりつけ医を受診できる仕組みが構築できれば、今後、少子高齢化社会においても、医療提供を行うための大切なツールとなるでしょう。
 しかし、一部で見られるような不適切なオンライン診療が拡散してしまえば、これまで真摯に実施してきたオンライン診療の信頼まで損なわれる恐れがあり、オンライン診療の発展にとって有害となります。
 そのためにも、オンライン診療を始める医師、そして、これまでオンライン診療を実施されてきた方々には、改めて指針に基づいた適切な実施と保険診療における要件等のルールの遵守をお願いするものであり、オンライン診療が適切な形で普及・発展することを切に願っています。

お知らせ
 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の全文、指針に関するQ&Aなどについては、厚生労働省のオンライン診療に関するホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html)をご覧下さい。
今回のインタビューのポイント
  • 今回の指針の見直しは、医療を取り巻く環境・情報通信技術が目まぐるしく進化することを踏まえ、「少なくとも1年に1回以上更新する」ことと定められていることから、行われたものである。
  • 「緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療での処方」については、さまざまな角度から議論が行われ、例外として認めることとなったが、各種条件が付けられている。
  • へき地や離島などにいる医療機関へのアクセスが困難な患者が、オンライン診療と対面診療を組み合わせて、かかりつけ医を受診できる仕組みが構築できれば、今後の少子高齢化社会でも医療提供を行うための大切なツールとなる。オンライン診療を実施される会員の先生方には、「指針」や保険診療における要件等のルールを遵守の上、適切に実施して頂きたい。

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