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令和元年(2019年)11月28日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

第22回医療経済実態調査の結果について

 松本吉郎常任理事は11月27日、記者会見を行い、「第22回医療経済実態調査」(11月13日公表)について会内で分析した結果を基に、同日開催された中医協総会において、診療側の見解を示したことを報告するとともに、改めてそのポイントを説明した。

 病院については、
・損益差額率は一般病院でマイナス2.7%。医療法人では、病院長給与を引き下げたものの、チーム医療が進む中で職員数が増加し、給与費率は横ばい。また、医療法人の3分の1が赤字となっている。

・急性期一般入院料1は、医業収益(収入)が若干増加したものの、その他は横ばいで、急性期一般入院料1も含め、急性期一般入院料および地域一般入院料の損益差額率は、ほとんど改善されていない。

・療養病棟入院基本料1(医療区分2・3の該当者割合8割以上)に比べて、療養病棟入院基本料2(同5割以上)は、医業収益(収入)の伸びが低く、国公立以外では損益差額率が低下している。

・精神科病院は、一般病院に比べて医業収益(収入)の伸びが小さく、損益差額率も水面上ぎりぎりのまま。

 一般診療所については、
・医業収益(収入)が横ばい。医療法人は院長給与を引き下げたものの看護補助職員等の増加により、入院収益なしの損益差額率は横ばいであった。

・入院収益あり(有床診療所)は、医業収益(収入)の減少が影響して損益差額率が低下。また、一般診療所(医療法人)の3分の1が赤字であった。

 また、一般診療所の損益差額率が一般病院よりも高いという指摘があることに対しては、一般診療所と一般病院は損益差額の計算式が異なるため、単純に比較はできないこと、また、医療法人の損益差額の絶対額は一般病院5,290万3千円に対し、一般診療所1,040万9千円であることを指摘。

 更に、在宅療養支援診療所(在支診)では、医業収益(収入)は伸びたものの、給与費をまかないきれず、在支診以外と比べて損益差額率が低くなっている他、一般病院では、看護職員、医療技術員等が増加しているが、医療法人の1人当たり給与費は、国公立に比べて100万円前後かそれ以上に低いため、タスクシフティングに向けた多職種の採用が難しい状況であること、また、減価償却費と設備関係費の合計の比率はどの開設者でも低下していることから、「設備関係コストが抑制されていることが伺えると」との見解を示した。

 また、保険薬局については、薬価制度改革により収益(収入)が減少し、損益差額率が低下しているが、チェーン薬局やドラッグストア内調剤薬局は高水準を保っている(保険薬局の収入にはOTC医薬品や化粧品等も含まれており、ドラッグストアはこれらの調剤以外の収入が多いことに留意が必要である)とした。

 その上で、同常任理事は、まず、今回の調査結果から、医療機関等は総じて横ばいの経営状況であることが明らかになったとして、医師の働き方改革を実現するためには、タスクシェア/タスクシフトやチーム医療の強化とともに、そのための人員確保は喫緊の課題であり、また、医療に対する国民のニーズ多様化に向けたきめ細かい医療サービスを提供するためにも、多職種の人員を確保することが重要になると説明。

 加えて、他産業に比べて医療分野の賃金の伸びは低く、看護補助職員等の人材確保も難しくなっているとするとともに、「このような状況が続けば、医療従事者の確保に困難を来たし、医療サービスの質の低下を招く恐れがあるばかりか、医療技術の進歩などによる医療の質の向上にも対応ができない」と述べた。

 また、中医協総会で示された支払側の分析については、(1)健保連の分析は相変わらず経年変化を追っているが、「医療経済実態調査」は改定を挟んだ2年間の定点調査であり、2年を超えた分析は適切ではない、(2)国の基幹統計や「医療経済実態調査」以外の一般統計(「医療経済実態調査」は一般統計である)は、悉皆調査または大規模調査であり、経年比較も可能であるが、「医療経済実態調査」には抽出率、回答率の問題がある―とその問題点を指摘。

 「健保連は、損益差額率のわずかなプラスを理由として『黒字』を強調しているが、一定程度黒字でなければ地域医療への再投資は行えるものではない。企業においても、成長に向けた投資のために一定の利益は必要であり、健保連の分析資料にある、損益差額率2.6%→2.8%を指して『黒字が拡大した』というコメントは言い過ぎである」と反論した。

問い合わせ先

日本医師会医療保険課 TEL:03-3946-2121(代)

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