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令和2年(2020年)3月6日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

平成30年・令和元年度外国人医療対策委員会報告書について

 松本吉郎常任理事は、外国人医療対策委員会が会長諮問「地域医療における外国人医療提供体制のあり方について」に対して検討結果を取りまとめ、2月21日に渋谷健司同委員会委員長(英King's College London教授)より横倉義武会長宛てに提出したことを報告し、その概要を説明した。

 答申は、(1)共通、(2)訪日外国人、(3)在留外国人―で構成されている。

 (1)では、1.厚生労働省による調査結果概要、2.わが国における外国人に対する医療提供体制、3.ワンストップ窓口、4.医療通訳、5.キャッシュレス決済―について検討されている。

 1.では、平成30年度の厚労省による調査結果を紹介した上で、同調査を今後も継続していくことを求めている。

 2.では、拠点的医療機関について、選定されることがデメリットとならないよう、積極的施策を行うよう提言している。また、厚労省の外国人患者受入れ整備事業についても、予算の拡充や期間の延長、手続きの簡素化を求めている。

 その他、救急医療における外国人医療通訳については、救急隊員がどのような医療通訳のデバイスを用いているかを把握すべきとしている。

 3.では、同窓口で何を行うのか検討を行い、想定される業務を6つに類型化している。また、中間答申と同様に、業務は広域化できるものと都道府県単位で対応するものを分けるべきと提言している。

 4.では、医療通訳の質の確保について、「医療通訳の認証」に関し、医療機関による評価が適切に反映されるような仕組みの必要性を指摘している他、誤訳等の際に通訳会社や通訳者を守る仕組みを確保すべきと提言している。

 更に、日医における医療通訳についてのスタンスとして、まず普及するべきは電話医療通訳としている。

 5.では、キャッシュレス化は円滑な支払いを支援する側面があるとする一方、医療の特殊性として療担規則があることを指摘。その上で、医療機関がキャッシュレス化を円滑に進めるため、国に対しても提言する必要があるとしている。

 (2)では、円滑な支払いの支援について、「厚生労働科学特別研究事業」のマニュアルについて一定の評価をするとともに、その考え方は一般の医療機関にとっていまだ複雑であるため、更なる検討が必要としている。

 また、「旅行代理店、保険会社、アシスタンスサービスの役割の明確化」の項目では、外国人観光客が疾患に罹った場合、国外のツアーアシスタンス会社や提携している保険会社からの指示が、不正確かつ日本の実情にそぐわないものがあるとして、ツアーガイドや関連会社に対する要請や、医療機関自身も確認を行うことを提言している。

 (3)では、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法等の改正により、4月1日から、健康保険の被扶養者となるための要件に、生活の拠点が日本にあること等が追加されたことを説明するとともに、中間答申と同様、予防接種の問診票の内容、形式について、できるだけ統一することを求めている。

 また、「地域における在留外国人の医療を守るために(学校医・産業医・介護・認知症等について)」の項目では、在留外国人が地域の一員として生活していく中、今後のわが国の医療を考える際には、あらゆる場面で在留外国人のことを考慮に入れておく必要があるとしている。

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