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令和2年(2020年)3月20日(金) / 日医ニュース

組織化に向け先進的な活動実例を紹介

組織化に向け先進的な活動実例を紹介

組織化に向け先進的な活動実例を紹介

 令和元年度 都道府県医師会「警察活動に協力する医師の部会(仮称)」連絡協議会・学術大会が2月11日、日医会館で開催された。
 連絡協議会は、担当の城守国斗常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした横倉義武会長(今村聡副会長代読)は、日頃の活動に感謝の意を示した上で、「日医では、かねてより死因究明施策全般を議論する恒久的な会議体の設置を強く訴えてきたが、本年4月1日から施行される『死因究明等推進基本法』は、その後ろ盾となるものである」と強調。今後は日医として、死因究明の推進に資するさまざまな問題とその解決方策について提起していく方針を示した。
 また、今年度からの新たな試みとして、先進的な活動を行っている医師会の活動の実例紹介をプログラムに取り入れたことを説明した。

報告

 報告では、まず、伴圭吾厚生労働省医政局医事課主査が、「死因究明等推進基本法」の施行に向けて、死因究明等推進計画の推進状況や同基本法の概要・支援策等を説明。
 曽根明文警察庁刑事局調査官は、死因・身元調査法に基づく警察での死体の取り扱いの流れを解説した他、同法の運用について、警察における死体取扱数の推移等のデータを示しながら説明を行った。

協議

(1)部会の設置及び活動の実例紹介

 細川秀一愛知県医師会理事が県医師会と警察の協力体制について、実際の愛知県医警察部会幹事会のメンバー構成や部会規程等も示しながら活動の実態を紹介。嘱託産業医としての役割や被留置者の健康管理、運転免許の返納に関連する業務、検視立会等、活動は多岐にわたり、これらを通して愛知県では県医師会と県警察でしっかりとした協力体制が構築されているとした。
 同理事は今後に向けた展望として、「警察は、警察庁の下部組織として各都道府県警察として組織されており、その構築・情報共有などについては、日医による都道府県医師会レベルでの組織化が不可欠である」とした他、各都道府県警察の協力体制等に地域差がある現状の改善に日医が関与することを求めた。

(2)各県医師会からの質問・意見及び要望

 大阪府医師会から事前に寄せられた提出議題「警察医が過酷な労働環境の中で働く中、今後、警察医の健康をどう守り、どう担保していくか」「多死社会に対応する検案サポート体制のモデル的な事業の構築」の2点について城守常任理事が回答した。
 同常任理事は、警察に協力する医師の過重労働を防ぐには、「一人でも多くの若手医師に検案業務等に興味をもってもらうことが重要」とした上で、そのためにも、現在試験的に行われている「日本医師会 死体検案相談事業」の全国展開を始めとして、現場で不安や疑問を感じた時にすぐにサポートを受けられる体制の構築を進めていく方針を示した。
 また、近日中に各都道府県の警察部会等の実態調査を行うことを明らかにし、出席者に理解と協力を求めた。

基調講演と4題の一般講演が行われる―学術大会

 続く学術大会では、初めに横倉会長(今村副会長代読)が、「基調講演の主題となっている『チャイルド・デス・レビュー』に関しては、まだあまりなじみのある内容ではないかも知れないが、死因究明の分野で活動されている先生方にご協力頂くことは必須と思われる」と述べ、この機会に知見が広まることに期待を寄せた。
 続いて、「わが国におけるチャイルド・デス・レビュー〔予防のための 子どもの死亡検証制度(仮)〕のあり方について」と題して特別講演を行った沼口敦名古屋大学医学部附属病院 救急・内科系集中治療部長は、国策として設立が模索され始めた同制度について、「予防可能な子どもの死亡を減らす目的で、多職種専門家が連携して系統的に死因調査を実施して登録・検証し、効果的な予防策を講じて介入を行うとする制度である」と説明。これまでさまざまな既存の死亡調査制度がある中、新事業として行う意義としては、"省庁/専門家横断的""継続的""成果志向的"の3点があるとした。
 その上で、小児死亡が発生した段階から最終的に全国集計等を行うまでの流れ等を解説。各症例を検証し、現実的に"変えられること"を抽出し、提言していくことが重要とした。
 同部長は最後に、「同事業では医療者に加え、警察・検察・保健・児童相談所など多機関との共同作業が期待される」と述べ、小児の死亡事例の検証の重要性は皆が認識している中、バラバラに動くのではなく、同じ方向を向くことの必要性を強調した。
 その後は、一般公募で選ばれた①死因の正診率偽診率について考察②私のAiと災害時の検視の現状③金沢東署管内最近10年間における浴槽内死亡の検案事例のまとめ④神戸市内における浴槽内死亡2700例の検討―の4題の講演が行われ、今村副会長の総括により大会は終了となった。
 参加者は、連絡協議会が102名、学術大会が110名で、テレビ会議システムにより9県医師会に中継を行った。

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