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令和2年(2020年)3月19日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症に関する日医の対応(「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査結果等)について

 横倉義武会長は3月18日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組む医療機関への風評被害に警鐘を鳴らすとともに、医療機関における医療用マスクや防護具等の不足は深刻な状況が続いているとして、早急な配備を求める要望書を加藤勝信厚生労働大臣に提出したことを報告した。

 同会長は、まず、一部大都市を中心に感染経路が不明な事例も生じているわが国における新型コロナウイルス感染症の状況について、「国内の感染者数については議論もあるが、死亡者数については正確な値に近いと思われる」と述べ、肺炎の重症患者については新型コロナウイルスに感染している可能性があることに留意した診察が行われていることを説明。

 また、「イタリアではEUが求めた財政緊縮策として医療費抑制政策を進めてきたために病床が足りず、感染した患者を医療機関に受け入れられない事態になっている」と感染の拡大が続くヨーロッパ諸国の状況に触れた上で、「現在、わが国では医療提供体制の見直しで病床数の抑制が求められているが、今後もこのような事態に備えて入院医療体制に余裕を持たせておくことが必要である」との見解を示した。

 更に、横倉会長は、このような状況下においても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて全力で取り組んでいる全国の医療従事者に謝意を表した上で、群馬県、兵庫県の医療機関で医師の感染が明らかになったことにも触れ、1日も早い快復を祈念。

 その一方で、一部の報道や行政から感染した医師を非難する声があったことを挙げ、「非常に遺憾だ」とするとともに、「新型コロナウイルス感染症に罹患した患者の受診や医療従事者等への罹患、そして来院する患者さんの不安を払拭するため等の理由で、自主休業を余儀なくされる医療機関もあるが、風評被害も含め、それに伴う経済的な補償も必要である」と強調した。

 疲弊する医療機関への対応の好事例としては、神奈川県で十数名による専属チームが編成され、病院と毎日連絡を取り合って医療資源や状況の把握が行われていることを紹介。「こうした取り組みを他の都道府県行政でも行って頂き、医療機関の窮状を把握するとともに、医療従事者のみならず患者さんや国民に安心を与えていくことが今後の感染拡大防止に向けた一つの方策である」と主張した。

 その上で、国においては医療機関向けにマスクの優先配布が行われているものの、現在も医療現場における「サージカル、N95等の医療用マスク」や、「フェイスシールド、ガウン等の防護具」の不足は極めて深刻であり、3月13日に加藤厚労大臣に対し、医療用マスクや防護具等の早急な配備を求める要望書を提出したことを報告。防護具等はまだ足りないとの認識を示し、「日医は、今後も医療機関に従事する方が不安を感じることなく、患者さんの治療に専念できるよう、現場の声を政府に届けていく」との姿勢を示した。

【問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)】

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「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査結果について

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 釜萢敏常任理事は3月18日の定例記者会見で、都道府県医師会に対する「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査の結果、26医師会から290件の報告が寄せられたことを説明した。

 本調査は、医師がPCR検査を必要と判断したにもかかわらず、検査に結び付かなかった不適切と考えられる事例が生じていることを受けて、2月26日から3月13日まで、都道府県医師会の協力を得て実施していたもので、最終的には3月16日正午現在の報告数が取りまとめられた。

 不適切事例として報告されたのは、26医師会から290件で、大阪47件、東京36件、兵庫27件、埼玉20件、熊本15件などとなっている。

 同常任理事は、「内容については十分検討が必要だが、各地域でPCR検査を実施する余力がなかったことが今回の不適切事例の背景にある。しかし、この問題については今後改善する」との見方を示した。

 また、新型コロナウイルスに関する「帰国者・接触者相談センター」への相談件数(2月1日~3月13日)が全国で184,533件あり、そのうち「帰国者・接触者外来」の受診につながったのは7,861人、PCR検査の実施に至ったのは5,734件であったことを報告。「相談から検査につながったのは3.1%であり、やはりこの数は少ない」と指摘。

 国が同センターの電話相談業務を外部委託することを可能とする方針を示したことを踏まえ、日医からも都道府県医師会に協力を呼び掛ける通知を発出したことを紹介する一方、電話だけでなく、実際に相談や診察を受けられる仕組みも必要との考えを示した。

 この他、職場から新型コロナウイルスに感染していないことを証明するよう求められる労働者がいることにも言及し、医療機関がそのような要望に応じることは難しく、新型コロナウイルスの正しい情報を発信するようマスコミ各社に協力を要請した。

【問い合わせ先:日本医師会総務課、健康医療第2課 TEL:03-3946-2121(代)】

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