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令和2年(2020年)4月6日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース

2018・2019年度地域包括ケア推進委員会答申「尊厳の保障と自立支援に資する地域包括ケアシステムの深化・推進へ向けて」について

 江澤和彦常任理事は、4月1日の定例記者会見で、地域包括ケア推進委員会が会長諮問「尊厳の保障と自立支援に資する地域包括ケアシステムの深化・推進へ向けて」を受け、2年間検討を重ねた上で答申書を取りまとめ、3月16日、中尾正俊委員長(大阪府医師会副会長)から横倉会長に提出したことを報告し、その概要を説明した。

 本委員会は、前期まで介護保険委員会として介護及び医療に関する諸課題を議論してきたが、今期より地域包括ケア推進委員会に名称を変更し、初の試みとして「総論」「各論」に分けて取りまとめを行った。

 内容は、「はじめに」「第1章 総論」「第2章 各論」[1.地域包括ケアシステムにおける取り組みの見直し、2.地域包括ケアシステムの深化・推進に向けての施策、3.在宅医療体制の構築に向けて、4.地域包括ケアを支える病院との連携、5.地域住民の意識改革へのアウトリーチ、6.地域包括ケアシステムの取り組みにおける諸課題]「おわりに」で構成。参考資料として、今期委員会で行った3題の講演データが紹介されている。

 総論では、地域包括ケアシステムの概念とコンセプト、基本理念に触れられている他、令和の時代を、「多死」を支え、「予防」を推進する時代と捉え、健康寿命の延伸や介護予防を確立することが重要になると指摘。特に、介護予防については、要介護者の発生防止等についても取り組む必要があるとしている。

 また、具体的な介護政策については、地域医療構想は医療だけでは完結しないことから、自宅や高齢者住宅、介護施設等の在宅系医療も含め、介護の行政担当や介護事業者等関係者も地域医療構想調整会議に参加し、「地域医療介護構想」を策定することが求められるとともに、その内容を、医療計画・介護保険事業計画に活かす必要があるとしている。

 地域におけるリハビリテーションの提供体制については、医師会がより積極的に関与することが期待されることや、「介護医療院」については、地域に貢献し、地域に開かれた医療資源としての役割を担うことが、また、介護人材不足を解消するためには、介護職員のやりがい支援や働きやすい職場づくりが、それぞれ求められているとしている。

 各論では、総論の内容を踏まえた地域包括ケアシステムにおける取り組みの見直しについても言及。社会的処方のツールとしての「主治医意見書」の重要性を示すとともに、ACPと「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」のそれぞれのあり方について、整理がなされている。

 また、在宅医療体制の構築については、地域の実情に応じて地域の課題に則って取り組んでいくことを求めるとともに、地域包括ケアシステムの取り組みにおける諸課題に関しては、「産業保健」「救急医療」「災害対応」ごとに、その具体的な内容が盛り込まれている。

 答申の内容を説明した江澤常任理事は、「ベーシックな内容から今後の方向性まで幅広く提言されており、ぜひ、かかりつけ医をはじめ多くの医療現場においてバイブル的に活用してもらいたい」と述べた。

 なお、参考資料として委員会で実施した3つの講演資料については、日医ホームページに掲載することを予定している。

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