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令和2年(2020年)4月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「医療危機的状況宣言」を発表

 横倉義武会長は4月1日、記者会見を行い、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえて「医療危機的状況宣言」を公表。医療提供体制を維持するため、国民に適切な受診行動をとることなどを呼び掛けた。

 横倉会長はまず、新型コロナウイルス感染症の死亡率について「世界では、ヨーロッパ諸国を始めとして爆発的な感染拡大が起きているのに対し、世界で最も高齢化が進んでいるにもかかわらず、日本の人口に占める死亡率は、低く抑えられているドイツよりもなお低いことを取り上げ、「感染者数については議論があるものの、重症の肺炎患者を診る際、医師は新型コロナウイルス感染症に留意して診察を行っており、死亡者数については正確な値に近い」との見方を示した。
 その上で、「現在の状況は2週間前の投影である」と述べ、「2週間前の死亡者数を見ると、イギリスとアメリカは2桁だったが、直近の死亡者数は両国とも4桁に急増している」と指摘した。
 政府が国民生活及び国民経済への影響を踏まえて検討している(4月1日現在)「緊急事態宣言」の発令については、「現在行っている対策は2週間後に結果が表れることから、感染爆発が起こってからでは遅く、今のうちに対策を講じなくてはならない」と強調。2018年にノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑氏(京都大学特別教授)からの助言も受け、「緊急事態宣言」の発令に先立って医療現場から「医療危機的状況宣言」を行うとし、医療提供体制を維持するために、国民に対して、自身の健康管理、感染を広げない対策、適切な受診行動を要請した。
 また、PCR検査については、防護具等フェイスガードの不足から、実施の拡大が難しいとの認識を示す一方、採血で行う抗体検査はPCR検査と比べると医療従事者の感染リスクも大幅に軽減されるとし、「陽性者の判定に感度の問題はあるものの、既感染に対しては問題はないとされている」と説明。感染を疑う者にはPCR検査、既感染者には抗体検査を行うことを提案するとともに、国に対して抗体検査が実施できる体制の早急な整備を要望した。
 加えて、一部の地域では病床が不足しつつあることから、退院基準の見直しの必要性についても言及した。

【問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)】

わが国は気を緩める状況にない―釜萢常任理事

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 釜萢敏常任理事は、横倉会長が発表した「医療危機的状況宣言」の背景として、従来のさまざまな医療を継続しつつ、新型コロナウイルス感染症の治療に多くの医療資源を投入しなくてはならない状況の中で、わが国においても医療提供体制の維持が危機的になっていることがあると説明。
 医療機関における新型コロナウイルス感染症患者の発生により、医療従事者やその家族までも誹(ひ)謗(ぼう)中傷を受ける事態が生じていることを憂えるとともに、この状況を乗り切るためには、国民の理解と協力が不可欠であるとした。
 中国から輸入されている抗体検査のキットについては、「体外診断用医薬品の承認を受けていない。現在、検査キットの評価が行われており、その結果が間もなく公表される予定だが、症状が出てから2週間ほどで抗体価の上昇を捉えられると聞いている。抗体の持続については今後の研究が待たれるが、抗体の把握は医療従事者には役立つ情報であり、日医としてもどのように利用できるか、検討していきたい」とした。
 一方、PCR検査については、「実施可能件数は増えているが、医師が検査を必要としたもの全てが速やかに検査される状況にはなっていない」と述べ、各地域において、保健所以外の検査所の整備や、検体の搬送体制の整備など、検査体制を確立していく重要性を改めて強調した。
 同常任理事は、記者との質疑応答の中で、感染拡大が進む諸外国におけるこの2週間の死亡者数の増加率を示し、「わが国は安全だと気を緩めることはとてもできないことを伝えたい」と強調。「緊急事態宣言」が発令される場合の区域に関しては、東京だけでなくその周辺なども対象となるとの認識を示すとともに、「医療崩壊」「緊急事態宣言」「都市封鎖(ロックダウン)」が、混同して捉えられがちであることに注意を促した。

新型コロナウイルス感染症

【問い合わせ先:健康医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)】

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