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令和2年(2020年)4月8日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

「緊急事態宣言」の発令(予定)を受けた日医の見解について

 横倉義武会長は4月7日に安倍晋三内閣総理大臣が「緊急事態宣言」を発令したことを受けて、同日に緊急記者会見を行い、今後の医療提供体制の整備に向けた課題等について、日医の見解を述べた。

 同会長は、まず、安倍総理が当日の会見の中で医師を始めとした医療関係者への感謝の意を示したことに触れ、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、思いを更に強くした」と述べた。

 その上で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と医療提供体制の維持に向けたこれまでの日医の取り組みとして、(1)4月1日に「医療危機的状況宣言」を発令するとともに、3日には超党派「医師国会議員の会」の緊急会合も開催され、国民に適切な医療を提供できるよう、国に対し強く要望をする旨の決議が採択されたこと、(2)同じく3日に「医療危機的状況宣言」の内容を自ら安倍総理に説明するとともに、医療現場の現状について意見交換を行ったこと、(3)4日には加藤勝信厚生労働大臣に要望書を提出するとともに、6日に同大臣と医療が危機的状況にある現状について意見交換を行ったこと等を説明。更に、東京都医師会からは「医療的緊急事態宣言」が、福井県医師会からは「医療提供体制緊急事態宣言」が、福岡県医師会からは「医療危機的状況宣言」も、それぞれ出されているとした。

 今回の「緊急事態宣言」の発令に関しては、「これまで日医が新型コロナウイルス感染症から国民の生命と健康を守るため、関係各所に対して主張してきたことが実を結んだもの」との見解を示すとともに、本発令を受けた今後の医療機関に対する支援の内容を概説した。

 「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」「地域医療確保支援」「診療報酬」の3本立てとなっているとした上で、特に「緊急包括支援交付金」は地域の実情に応じて都道府県が活用計画を作成するものであることから、地域からのボトムアップが重要だと指摘。全国知事会に対して、都道府県医師会と十分連携を取るよう求めていくとした。

 その他、医療への対策として(1)全般的な対策、(2)外来の対策、(3)入院の対策、(4)患者の重症化への対策、(5)その他―の5つの観点から、要望してきたことを説明。

 (1)に関しては、地域の実情に応じて、新型コロナウイルス以外の疾病の日常診療と新型コロナウイルス感染症を診る医療機関との役割分担が必要だと強調。補正予算で対応するとされている「新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口の設置、広報の充実」では、コールセンターの設置や国民等に分かりやすい広報の充実を図ることが求められるとして、現在、地域の医師会に対して協力を求めていることを明らかにした。一方、国民に対しては、「自分の健康に不安がある場合は、電話等の情報通信機器を用いて、まずは受診歴のあるかかりつけの医療機関に電話等で相談し、かかりつけ医の指示に従って欲しい」とした。

 (2)については、既存の帰国者・接触者相談外来、新型コロナ相談外来等の支援のため「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」から、防護具やPCR検査機器等の整備が、「地域医療確保支援」から、マスクや消毒用エタノール等の物資の確保が、それぞれ盛り込まれたことを評価。

 「診療報酬」による支援については、8日開催の中医協の議論において、必要な感染予防策を講じた上で実施される外来診療に対する評価がなされることに期待感を示した。

 (3)に関しては、地域の実情に応じて新型コロナウイルス感染症患者を診る医療機関を、無症状者、軽症者・中等者、重傷者、重篤者に分けて受け入れる医療体制への移行の必要性を指摘し、「各地域でしっかりと整備することが求められる」と指摘。

 また、空床確保のために、無症状者・軽症者を受け入れるホテル等及び健康管理を行う医師等医療従事者の確保に向けて、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の活用が、また、「地域医療確保支援」からは、外来と同様に物資の確保などがそれぞれ盛り込まれていることを説明。入院における診療報酬上の対応については、入院を必要とする新型コロナウイルス感染症患者に対する診療の評価と、必要な感染予防策を講じた上で実施される診療の評価を求めた。

 (4)については、重症患者の増大に向けた備えとして、人工呼吸器・体外式膜型人工肺(ECMO)の確保とその治療が必要な患者を受け入れる医療機関の要員確保が重要だと指摘。「医療器材の整備とともに、人材の育成に向けて、『新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金』を活用して欲しい」と述べた。

 また、(5)については、診断キット、治療薬、ワクチンの早期開発を後押しするため、「ワクチン・治療法の開発促進等」として明記されたこと、また、風評被害等を含めた支援として、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」から「新型コロナウイルス感染症対応に伴う救急医療等地域医療体制の継続支援、休業等となった医療機関の再開等支援」が盛り込まれたことを紹介。新型コロナウイルス感染症患者が出た医療機関や医療従事者、その家族等に対する風評被害があることにも触れ、風評被害により医療機能が失われてしまえば、地域の医療提供体制の崩壊を招く恐れがあることに理解を求めた。

 最後に横倉会長は、「新型コロナウイルス感染症に勝つためには、全ての医療関係者が協力していかなくてはならない」と強調。国民に対しては行動変容への協力を求めるとともに、指定公共機関でもある日医としても、都道府県医師会や郡市区医師会と連携し、各地域の医療提供体制の構築・確保に向け、「新型インフルエンザ等対策業務計画」(2014年5月策定)に沿って引き続き、その責務を果たしていくとした。

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