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令和2年(2020年)4月16日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症に関する日医の対応について

新型コロナウイルス感染症に関する日医の対応について

 横倉義武会長は4月15日の定例記者会見で、4月7日に政府から緊急事態宣言が発令されてから約一週間が経過したのを受けて、国民に対して改めて「換気の悪い密閉空間」、「人の密集」、「近距離での会話や発声」いわゆる「3密」を避けること、特に換気を意識的にしっかり行って欲しいと呼び掛けるとともに、緊急事態宣言発令後からの日医の対応について報告した。

 横倉会長は、4月10日に西村康稔経済再生担当大臣と会談し、新型コロナウイルス感染症患者が急増する中で、N95マスクやフルフェイスシールドが不足しているために感染症患者に対応できない施設が増えている現状により、医療崩壊の恐れがあると説明するなど、医療現場での防護具不足の窮状を訴え、その改善を求めたことを報告。

 また同日には、加藤勝信厚生労働大臣に対しても、横浜市立大学を始め国内の大学や研究機関等で開発が進められている新型コロナウイルス感染症の抗体検査の実用化に向けた支援と、速やかな普及を求める要望書を手交するとともに、西村経済再生担当大臣に要望したN95マスク等の防護具不足の改善についても改めて対応を求めたことを明らかにした。

 更に、日本心臓血管外科学会の有志の先生方から、(1)感染患者の病床を確保する目的でとりわけ外科系の診療科に緊急を要しない手術の延期要請、(2)ICU病棟の病床数と医師、看護師、臨床工学士の増員と待遇改善、新型コロナウイルス感染症重症患者の受け入れのためのICU増床加算、(3)N95マスクや感染防護服の早急な補充―についての嘆願書を受けたことを紹介。今後、改めて政府に対し、要望していくとした。

 医療防護具については、トヨタ自動車が医療用フェイスシールドを生産し、医療機関へ提供していくことを発表し、帝人がガウンの製造に取り組むとの報道があったことに言及。「N95マスクについては認証ハードルが高く、需要がピークを過ぎれば過剰設備となる懸念から企業が国内生産に慎重になっていると言われているが、新型コロナウイルス感染症が収束しても、いつ次の感染症が発生するか分からず、N95マスクの国内生産は必要である」と強調し、政府に対して国内生産を国において担保する仕組みを整備するよう求めるとともに、「感染症の危機に備え国内生産に国費を投入することは、国民の理解も得られるのではないか」と述べた。

 また、横倉会長は、今回の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に盛り込まれた「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)」について、 地域の医療提供体制を守るために地域の実情に応じて都道府県が活用計画を作成するものであり、地域からのボトムアップが不可欠であると指摘。全国知事会とテレビ会議を行った際にも、都道府県医師会との十分な連携を取るよう要望したことを報告した。

 更に、緊急事態宣言の発令に伴い、対象地域で休業要請が行われたことに関しては、「その対象はそれぞれ異なっているが、ワクチンや治療薬もなく、医療提供体制がひっ迫した状況にある中で、人の動きを抑えることが感染予防には重要であり、休業要請の対象はなるべく広げることが望ましい。対策の逐次投入よりも打てる対策は速やかに全て打つべき」との考えを示した。

 最後に横倉会長は、ヨーロッパやアメリカで行われている、医療従事者に対する感謝と敬意を示す拍手を送る取り組みや、日本でも福岡市役所で同様の取り組みがなされたことに医療従事者は大いに勇気づけられているとした。その上で、「雲外蒼天」(うんがいそうてん)という言葉を紹介し、「雲は必ず晴れます。雲の上には青い空が待っています。その希望を持って国民が皆で協力した先に明るい未来が待っています」と呼び掛けた。

【問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03‐3946‐2121】

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新型コロナウイルス感染症対応におけるJMAT派遣について

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 石川広己常任理事は4月15日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症に対応する特例的なJMATとして「COVID-19 JMAT」を派遣する方針を決めたことを報告し、すでに東京都・福岡県両医師会では、自らによる被災地JMATとして出動を行っていることを明らかにした。

 本来、JMATは地震や台風などで地域医療に甚大な被害が発生した場合に、都道府県医師会の要請を受けて派遣するものであるが、横浜の大黒ふ頭に停泊したクルーズ船については国からの要請を受け、2月に特例としてJMATを派遣した。

 同常任理事は「COVID-19 JMAT」について、都道府県医師会からの要請に基づいて派遣するものであり、その業務は「軽症者や無症状者の受入施設(宿泊施設等)やその健康管理部門等」「帰国者・接触者外来、行政や地域医師会等が設置した仮設診療所等」での支援となることを説明。

 派遣に当たっては、派遣先(受援側)の都道府県行政と、(1)コマンド&コントロールを担う拠点の整備、派遣先都道府県医師会等との連携、(2)隊員全員に対するPPE(個人防護具)等の感染予防に必要な装備の十分な提供及び着脱訓練の実施、(3)経費の負担と、隊員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合の諸費用(休業補償等を含む)に関して必要な措置、(4)派遣終了後にPCR検査が必要な場合の実施―などの事前の調整を求めるとした。

 その中でも特に重要な点として、(2)の感染防護具の提供と着脱訓練を挙げ、「支援したことで二次感染してしまっては、余計に被害が広がってしまう。本日、日医のホームページ(下記参照)に、日本環境感染学会の感染防護具の着脱手順に関する動画を掲載したので、十分に習得してから支援に赴いて頂きたい」と注意を促した。

 なお、「COVID-19 JMAT」は、まずは当該都道府県医師会自らが編成する「被災地COVID-19 JMAT」において活動を展開し、更なる支援が必要な場合は他地域の医師会で編成する「支援COVID-19 JMAT」を派遣する仕組みとしており、日医においては申し込みのあった全ての「COVID-19 JMAT」隊員を、新型コロナウイルス感染症にも対応する傷害保険の被保険者とすることになっている。

■動画「感染防護具 ガウン着脱手順」

【問い合わせ先:日本医師会地域医療課 TEL03-3946-2121(代)】

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新型コロナウイルス感染症に関する日医の対応について

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 釜萢敏常任理事は4月15日、記者会見を行い、PCR検査について、依然として検査実施回数が増えていない現状があるとして、その体制整備を改めて求めた。

 今後円滑にPCR検査を実施していくために必要なこととして、同常任理事は、帰国者・接触者相談センターを経由せずに、帰国者・接触者外来につなぐ仕組みの拡充に加えて、陽性と判断された方の振り分けを迅速に実施する、出口戦略が重要になると指摘。「この仕事は本来、保健所の仕事ではあるが、保健所も厳しい状況にあることから、知事のリーダーシップの下、検査センターに職員を配置し、対応して欲しい」とした。

 また、国内メーカが従来の検査時間が大幅に短縮した検査キッドの販売を開始したこと、検体の搬送に必要な要件が簡略化されたことを紹介。「これらにより、医師が必要とした事例について、検査できるようになることを期待したい」と述べた。

 その他、同常任理事は、4月11日付で、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部から日医に対して、自宅療養を行う患者等に対するフォローアップ業務の委託に関する依頼が来たことを報告。「今後、自宅療養を行う患者が増えることが予想され中で、かかりつけ医がいる場合にはかかりつけ医がその役割を担い、いない場合には医師会が協力できる医師を紹介することが想定される」とした上で、「どう対応していくかは都道府県で協議して決めてもらうことになるが、現状を踏まえ、ぜひ協力をお願いしたい」とした。

 加えて、同常任理事は、自宅療養を行う上での課題についても触れ、家庭内感染をいかに防ぐかが大事になるとした他、自宅での体調の変化に対応するための体制整備、自宅での行動をいかに制御するかを挙げ、国に対して、その改善に向けた早急な対応を求めた。

【問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03‐3946‐2121】

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