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令和2年(2020年)6月17日(水) / 「日医君」だより

医療を支える人材の養成・確保に関する要望書を加藤大臣に提出

 横倉義武会長は6月16日、今村聡副会長、釜萢敏常任理事同席の下、加藤勝信厚生労働大臣と都内で会談し、「医療を支える人材の養成・確保に関する要望書」を手交した。

 要望書は、(1)看護師等学校養成所への遠隔授業の環境整備に関する補助、(2)学生支援緊急給付金の支給対象の拡大、(3)労災保険の上乗せ補償、(4)医療関連サービス事業者への支援―の4項目からなっている。

 (1)では、医師会や医療法人等立の看護師等学校養成所に対して、学校法人または準学校法人立と同様に、遠隔授業を行うための機材整備等の補助を、(2)では、学生支援緊急給付金の対象を准看護師学校養成所(専修学校高等課程)に通う学生にも拡げることをそれぞれ要望。また、(3)では、業務従事中に新型コロナウイルスに感染した場合に、労災保険では給付されない休業分を補償する制度(保険)に関して費用の補助を、(4)では、清掃・給食・滅菌消毒等の医療関連サービス事業の従事者に対しても個人防護具や消毒液等の配備や補償等の支援を、それぞれ求めている。

 当日は、今村副会長並びに釜萢常任理事が要望書の内容を詳細に説明し、理解を求めた。

 これらの要望に対して、加藤厚労大臣は、(1)について、「これからは遠隔授業が主流になると考えられ、できるだけの対応をしたい」と述べるなど、一定の理解を示した。

 その他、当日は先頃可決成立した第二次補正予算についても話が及び、加藤厚労大臣は、「各医療機関に対して、その詳細をできる限り早くお伝えしたい」とした上で、「感染状況がどのようになるかは不明であるが、今後も日医とは相談しながらやっていきたいと考えているので、引き続きよろしくお願いしたい」として、協力を要請。横倉会長も同意し、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波に備えて、両者が協力して対応していくことを確認した。

 

令和2年6月16日
厚生労働大臣
 加藤 勝信 殿
公益社団法人日本医師会
会長 横倉 義武
医療を支える人材の養成・確保に関する要望書

1.看護師等学校養成所への遠隔授業の環境整備に関する補助
 新型コロナウイルスの感染拡大・長期化により、看護師等学校養成所においても休講や実習中止等を余儀なくされています。そのような中で、文部科学省では、令和2年度補正予算及び第二次補正予算で、「大学等における遠隔授業の環境構築の加速による学習機会の確保」として、遠隔授業を行うための機材整備等の補助事業が創設されました。しかしながら、対象となる専修学校は、学校法人または準学校法人立に限定されています。
 各地域医師会や医療機関では、医療人材の確保という社会的要請に応えるべく、助産師・看護師・准看護師学校養成所を運営していますが、学校法人立ではないため、同事業の補助を受けることができません。
 今後の感染第2波に備えるためにも、早急な遠隔授業の環境構築や学生への支援が必要であり、設置法人の差によって学生の学習に差が生じることのないよう、厚生労働省として、社団法人や医療機関立の看護師等学校養成所に対する同様の補助を実施していただくよう要望いたします。

2.学生支援緊急給付金の支給対象の拡大
 新型コロナウイルス感染症の影響により進学・修学をあきらめることのないよう「学生支援緊急給付金」が創設されましたが、専修学校については専門課程に通う学生に限定されています。准看護師学校養成所(高等課程)に通う学生も対象としていただきたく、厚生労働省からもご支援をお願いいたします。

3.労災保険の上乗せ補償
 感染経路が不明な新型コロナウイルス感染患者が発生している状況においても通常の診療体制を確保するため、医師、看護職員、介護従事者等の補償が必要と考えます。業務従事中に新型コロナウイルスに感染した場合に、労災保険では給付されない収入を補償する制度(保険)に関して、費用の補助を要望いたします。

4.医療関連サービス事業者への支援
 医療関連サービス事業者も、医療従事者と同様に国民医療のために不断の努力を続けています。医療関連サービス事業の従事者が、安全に業務を提供できるよう、個人防護具や消毒液等の配備や補償等の支援を要望いたします。

新型コロナウイルス感染症

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