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令和2年(2020年)7月5日(日) / 日医ニュース

12項目の要望に対する理解と実現に向けた協力を求める

12項目の要望に対する理解と実現に向けた協力を求める

12項目の要望に対する理解と実現に向けた協力を求める

 「2021年度政府概算要求に対する日本医師会要望の説明会」が6月9日、厚生労働省で開催され、横倉義武会長、中川俊男・今村聡両副会長、小玉弘之・釜萢敏両常任理事が出席。要望(全文は日医ホームページ参照)の実現に向けた協力を求めた。
 今回の要望は、下記の12項目で構成されており、新規に「新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策への予算確保」(16項目)などが盛り込まれている。
 冒頭あいさつした横倉会長は、厚労省の同感染症拡大防止への対応に感謝を述べた上で、予算編成については、同感染症の影響で例年よりもスケジュールが遅れる中、日医としても協力していく姿勢を示した。
 引き続き小玉常任理事が、資料に基づき項目ごとに日医の要望の概要を説明した。
 これに対して厚労省は、「同感染症対策に関する補正予算の早期執行に努める」と述べた上で、「同感染症患者受け入れ病院等はもちろんのこと、感染症以外の疾患を診ているその他の医療機関についても、地域医療を守っている存在だ」として、今後さまざまな支援を行う方針であることを説明。そのためにも、引き続き、まずは同感染症の感染収束のために尽力したいとした。
 その後の意見交換では、今村副会長が、同感染症の第2波、第3波が予想される中、現在の労災保険の仕組みでは、経営状況の厳しい医療機関は、職員の罹患や休職等に伴う支出にとても対応できないと主張。第二次補正予算の中で、予備費を活用した更なる支援を求めるとともに、一時的な措置ではなく恒久的な対応とするよう求めた。
 また、医師の働き方におけるB水準、C水準の評価機能組織の設置準備について、「全く新しい概念で機能を評価する、新規の組織をつくることになる」と指摘。手厚い支援を要望した他、AI・ICTへの対応については、初期段階の今のうちにしっかりしたプラットフォームをつくるべきとした。
 釜萢常任理事は、同感染症の第1波における大きな問題として、医療従事者が個人防護具(PPE)の不足により、危険と隣り合わせで医療を行わざるを得なかったことを挙げ、厚労省に対してPPEが枯渇(こかつ)しないような対策の必要性を指摘するとともに、これから各種予算による支援が行われる中で、それらのつなぎ目の部分がスムーズに行われるよう求めた。
 更に、日医等が設立を求めている日本版CDCについては、新たに大きな組織をつくるのは現実的ではなく、既存の組織の連携等で実質的な機能を持たせる方向性の方が良いとの見方を示すとともに、その際には、状況に応じて必要な組織に応援人員を送ることができるなど、組織間の人材的な融通性の確保が重要だとした。
 その他、中川副会長はこのような状況の中で財政論に偏った議論にならないよう求めた。
 これらの要望に対して、厚労省は前向きに検討していく考えを示し、今後も両者が協力して厚労行政を進めていくことを確認した。
 なお、日医では、今後、今回の要望を基に、政府与野党並びに関係省庁に対して、その実現を強く求めていくこととしている。

(別表)
2021年度予算概算要求へ向けての日本医師会要望(12項目)
1. 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策への予算確保
2. 予防・健康への予算確保
3. 働き方改革への予算確保
4. オリンピック・パラリンピック対策への予算確保
5. 地域医療への予算確保
6. ICT・AI・IoT活用への予算確保
7. 災害対策への予算確保
8. 薬務対策への予算確保
9. 介護保険への予算確保
10. 医療の国際貢献推進への予算確保
11. 医学・学術への予算確保
12. 医療安全への予算確保

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