閉じる

令和2年(2020年)7月30日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

医師によるALS患者嘱託殺人に関する日医の見解について

 中川俊男会長は、難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の依頼に応じた医師2名が、薬物を投与して死に至らしめた嘱託殺人の疑いで逮捕されたとの報道を受け、7月29日の定例記者会見で「患者さんから要請があったとしても、生命を終わらせる行為は、医療ではない」とし、このような事件が二度と起きることのないよう、患者に寄り添い、尊厳ある生き方を実現していける社会を目指すとした。

 同会長は、「亡くなられた患者さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げる」と述べた上で、医療の目的は、患者の治療と人びとの健康を維持・増進していくことであり、患者から「死なせてほしい」という要請があったとしても、生命を終わらせる行為は医療ではないことを強調。もしそのような要請があった場合は、患者がなぜそのような思いに至ったのか、苦痛に寄り添い、共に考えることこそが医師の役割だとした。

 更に、患者と医師がソーシャルネットワークで知り合い、事前に医師へ金銭が支払われていたとの報道に触れ、「医療の本質は、人類愛に基づく行為であり、自らの利益のために行うものではない。ましてや、容疑に問われている医師は、主治医ではなく、診療の事実もなく、医の倫理に照らす以前に一般的な社会的規範を大きく逸脱しており、決して看過できるものではない」と指摘。

 患者が長期にわたる闘病の中で、死を選ぶ道を探し求めたとすれば悲しむべきことであるとし、「死を選ばなければいけない社会でなく、生きることを支える社会をつくるため、例えば、治療法の確立を目指した研究開発、心のケア、介助や支援制度の拡充等、医師会がやるべきことは何かを追求していきたい」と述べるとともに、今後、日医としての関わり方については、本件の動静を見極めて判断していきたいとした。

 その上で、これまで日医が、「医の倫理綱領」「医師の職業倫理指針」を策定して医の倫理の高揚に努めてきた他、人生の最終段階の医療・ケアについては、主に会内の生命倫理懇談会で検討し、ALSをもって直ちに人生の最終段階になるわけではないとの認識の下で、人生の最終段階における本人の意思決定支援の仕組みとプロセス(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)などを課題としていることを概説。

 中川会長は、「日医は今後も、適切な医の倫理の下で、ニーズに応じた医療・ケア並びにさまざまな支援が十分に行われるよう、必要な取り組みを推進していく。このような事件が二度と起きることのないよう、患者さんに寄り添い、尊厳ある生き方を実現していける社会を目指す」との見解を示した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる