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令和5年(2023年)12月5日(火) / 「日医君」だより / 日医ニュース

岸田総理に令和6年度診療報酬改定に向け、適切な財源の確保を要望

左から松本会長、岸田総理、高橋日歯会長、山本日薬会長左から松本会長、岸田総理、高橋日歯会長、山本日薬会長

左から松本会長、岸田総理、高橋日歯会長、山本日薬会長左から松本会長、岸田総理、高橋日歯会長、山本日薬会長

 松本吉郎会長は11月15日、高橋英登日本歯科医師会長、山本信夫日本薬剤師会長と共に総理官邸を訪れ、岸田文雄内閣総理大臣に要望書「令和6年度診療報酬改定に向けて」を手交。医科及び歯科医療機関、薬局の厳しい経営状況に理解を求めるとともに、令和6年度診療報酬改定に向け、適切な財源の確保を要望した。

 今回、岸田総理に手交した要望書は、三師会の会長が連名で取りまとめたもので、(1)今年の春闘では平均賃上げ率3・58%、人事院勧告では3・3%の上昇が示されているが、医療界においても、これらとの差を埋めるだけでなく、岸田総理が掲げる「賃上げ」という国の重要政策を踏まえて、更に加速すると見込まれる来春の春闘に匹敵する対応が必要である、(2)全従事者の13・5%にも上る医療・介護就業者数約900万人に対して、公定価格の引き上げを通じて賃上げ対応することは、わが国全体の賃金上昇と地方の成長の実現につながり、経済の活性化も見込める、(3)公定価格により運営する医科及び歯科医療機関や薬局等は、昨今の物価上昇分を価格に転嫁することができないため、最低限人事院勧告3・3%に匹敵する賃上げ、物価高騰、更には日進月歩する技術革新への対応には十分な原資が必要不可欠である―ことなどを説明した上で、令和6年度診療報酬改定に向けた三団体の一致した意見として、原資となる適切な財源の確保を強く求めるものとなっている。

診療所の役割等を説明特段の配慮を求める―松本会長

 当日の会談の中で、松本会長は、医療・介護分野の賃金上昇は他産業に比べて大幅な遅れをとっており、大きな離職超過も生じていること等を説明。「その解決のためには、診療報酬という公定価格により運営する医療機関等が人材確保や賃上げに対応できるよう、十分な原資が必要である」とするとともに、医療・介護分野の従事者約900万人の賃金を上げることは、他産業への更なる原動力ともなり、全国津々浦々まで、物価高騰対応や賃金上昇の波を行きわたらせ、わが国全体の賃金上昇と地方の成長の実現を見込むことができると強調した。
 また、松本会長は診療所の果たしている役割についても触れ、(1)診療所で対応した新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)患者及びコロナ疑い患者数は累計で約7700万人、(2)コロナワクチンの総接種回数は4億2489万5494回(11月14日現在)であるが、個別接種のほとんどは診療所で対応している、(3)コロナ対応における外来対応医療機関数は4万9888となっている(11月8日現在)、(4)診療所の医師は、自院での診療以外にも休日夜間急患センターへの出務など、さまざまな活動をしている―ことなどを説明し、理解を求めた。
 更に、診療所の経営状況に関しては、コロナ流行後の利益率は一見上昇しているように見えるが、これはコロナ対応(ワクチン接種対応、発熱外来対応等)に伴う収益増によるものであり、診療所としてコロナにしっかりと対応し、コロナ禍における日本の医療を支えてきた証左であると強調。コロナの特例的な影響はあくまで一過性のものであり、これを除くとコロナ流行後3年間の利益率は3・3%程度に過ぎず、流行前よりも悪化している可能性があるとした。
 加えて、松本会長は財政審が利益剰余金を賃上げの原資とすべきと主張していることについて「理不尽な話であり、原資はフローから出すべきである」と指摘するとともに、地域医療を支えてきた医療機関の閉院が続いていることを紹介し、「地域から医療が無くなるということは人が住めなくなることを意味している」として、理解を求めた。
 その上で、松本会長は財務省から診療所を中心とした経営者が給料を過大に受け取っているとの指摘がなされていることに触れつつ、診療所、歯科診療所、調剤薬局の経営者は管理者としての業務も担っていると指摘。「今後も岸田総理を支えていくためにも、この厳しい状況をご理解頂き、改定率決定の際には特段の配慮をお願いしたい」と述べた。
 続いて、発言した高橋日歯会長、山本日薬会長も、同様に歯科医療機関、薬局の経営上の厳しさを訴え、適切な財源の確保を求めた。

労働者の所得向上が重要、医療従事者も例外ではない―岸田総理

 三師会からの要望を受けて、岸田総理は「三師会の会長がそろって要望に来られたことを重く受け止めている」とした上で、「デフレ脱却の道筋を立てるためにも、来年の春から夏にかけて労働者の所得向上を図ることは極めて重要なことであると考えており、医療従事者もその例外ではない」と指摘。また、「コロナ禍において、昼夜を問わずコロナ患者への対応をして頂いた医療従事者のご苦労は十分認識しており、政府としてもその支援策として、先頃閣議決定した経済対策において、賃上げをした中小企業への税制優遇を、経営に苦しむ赤字の医療法人も対象とする他、重点支援地方交付金、地域医療介護確保基金などでも対策を行っている」として、理解を求めた。
 その上で、診療報酬の改定率については、「現在さまざまな議論が行われているところであるが、年末に向けて、丁寧に話を聞きながら決定していきたい」とした。

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