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令和6年(2024年)3月6日(水) / 「日医君」だより

「令和6年能登半島地震」災害対策本部会議(第9回)

 「令和6年能登半島地震」第9回災害対策本部会議が3月5日、石川県、富山県、福井県及び東京都の各医師会がWEB会議で参加の上、日本医師会館で開催された。

 冒頭、あいさつした松本吉郎会長は、発災から2カ月が経過したことに触れ、現地の状況を把握しつつ、改めて今後の対応を検討していきたいとして、引き続きの協力を求めた。

 続いて、現地の状況について、安田健二石川県医師会長と秋冨慎司石川県JMAT調整本部員/石川県医師会参与/日本医師会統括JMATが説明を行った。

 安田石川県医師会長は、まず松本会長を始めとする日本医師会執行部及び事務局、被災地へのJMAT派遣を継続している各都道府県医師会に対し感謝の意を示した。現地の状況については、金沢市以南の避難所では、保健師の介入により医療機関への連携スキームが整いつつあり、能登半島北部では看護師不足の上で、医療機関をどう立て直していくかが課題となっていると説明した。

 また、発災直後は閉院を検討していた開業医の先生が、JMATの支援により立ち直り、現在も診療を続けている例を紹介した。

 秋冨石川県JMAT調整本部員は、まず、高齢の被災者の避難や搬送について見解を述べた。東日本大震災での高齢者施設の対応を例に、避難所へ避難するか、高齢者施設を避難所指定して要配慮者の家族も集約するかなど、情報を集約して判断する必要があるとした。

 JMATの活動状況については、3月4日時点で延べ人数が9,627人となり、発災から2カ月としては東日本大震災よりも速いペースであることを明らかにした。また、発災当初はどの地域へ支援に行くにも多大な時間を要していたが、現在は道路状況が改善していることを説明、臨時の宿泊施設としてはスーパーアンビュランス(特殊救急車)や民宿も確保していることを紹介した。

 また、「発災前にかかりつけの医療機関であった多くの病院やクリニックでは、災害対応としてオンライン診療を活用しており、各保健所へ利用案内チラシの配布を依頼している」と述べた。

 更に、施設長や職員が疲弊していた高齢者施設において、産業医科大学の介入の下で意見交換会を実施したことを報告。職員間でお互いに感謝を伝えたり、積極的な意見交換を行ったりすることで職場環境が良好になった例を紹介した。

 今後の課題としては、(1)3.16問題、(2)避難所で多職種で管理している患者情報の集約とデジタル化、(3)能登半島北部の拠点病院による巡回診療の支援―などが挙げられるとした上で、日本医師会から引き続き災害救助法適用の延長要請等をして欲しいと要望した。

 引き続き、参加医師会から意見が述べられ、村上美也子富山県医師会長は、断水により、現地の看護師が医療機関で連続して勤務できないことを指摘。新井悟東京都医師会理事は、3月16日以降に要配慮者の方が能登半島北部に戻ることで、医療のニーズが大きく変わることを懸念、なるべく早めに中期計画を策定するよう要望した。

 佐原博之常任理事は七尾市の避難所の医療体制について、日中は保健師が対応し、何かあった時に最寄りの医療機関を受診、夜間は七尾市医師会員が持ち回りで電話対応をしていると説明。オンライン診療の件数は減少しているが、七尾市外に避難していた方々が戻ってきた影響で、受診件数は増えていることを報告した。

 また、秋冨石川県JMAT調整本部員は、看護師と事務員の不足が医療機関復旧の大きな足枷になっており、レセプト作成の支援を安田石川県医師会長へ要望していることを説明。「日本中で今後同じようなことが起きる可能性がある」として、今回の教訓をしっかり伝えていく考えを示すとともに、3.16問題をにらんで、3月15日までに中・長期計画を、4月初めに長期計画を示す予定であると明らかにした。

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