閉じる

令和6年(2024年)4月5日(金) / 「日医君」だより / 日医ニュース

令和6年能登半島地震の被災地復旧に向け武見厚労大臣に要請書を提出

令和6年能登半島地震の被災地復旧に向け武見厚労大臣に要請書を提出

令和6年能登半島地震の被災地復旧に向け武見厚労大臣に要請書を提出

 松本吉郎会長は3月8日に厚生労働省を訪れ、武見敬三厚生労働大臣に、令和6年能登半島地震により被害を受けた医療機関等の早期復旧及び再建の実現に向け、補助金等の支給、医療・介護従事者の確保等を求める要請書を手交した。

 当日の会談で松本会長は、先の地震により石川県を中心とした多数の医療機関や介護施設等が深刻な被害を受け、今なお本格復旧には至っていない現状を説明した上で、要請書の内容を概説。
 国に対して、(1)医療施設等災害復旧費補助金等による支援等、(2)被災地の医療・介護従事者の確保、(3)他省庁との連携―の3点について、格別の配慮を求めるとともに、補助に当たっては、被災医療機関等が公的か民間かを問わず、事業者負担を極力最小限に抑えられる対応を要請した(具体的な要請項目は下掲参照)。
 これらの要請に対して、武見厚労大臣は一定の理解を示すとともに、被災地への支援策はある程度充実してきており、運用で手当てしていけるのではないかと指摘。更に、避難者が元の居住先等へ戻るには、まず医療機関や介護施設が復旧していることが不可欠であり、そのためには何より住居が必要であるとして、いわゆるエッセンシャルワーカーの住居の確保を優先的に対応していく意向を示した。
 これを受け松本会長は、特に看護職員の確保が困難となっている状況を報告。「看護職員が確保できなければ医療機関等の復旧は困難であり、何とか復旧できたとしても継続していけない」と、被災地を面で支える地域医療の今後に危機感を表すとともに、金沢以南に避難した患者の帰還を実現するにも、被災地の医療提供体制が整っていなければならないとして、そのための更なる財政支援を求めた。
 また、松本会長は、(1)災害派遣医療チーム(DMAT)に続き、日本赤十字社の撤収も進みつつある中で、日本医師会災害医療チーム(以下、JMAT)が、被災者の医療支援、健康管理において重要な役割を果たしている、(2)石川県庁が取りまとめた結果によると、災害関連死はJMATが多数派遣された2月や3月は発生しておらず、1月下旬以来15人にとどまっている―ことなどを説明。JMATの派遣を今後も続けていくためにも、災害救助法の医療関係の適用期間を必要に応じて延長することを併せて要請した。
 その他、両者は、被災地には引き続き長期の支援が必要であり、国と日本医師会で緊密な連携を取りながら支援を行っていくことを確認。松本会長は、被災地の地域医療が復旧するまで、現場の需要に応じてJMATを派遣するなどの支援を継続していく意向を伝えた。

具体的要請事項
1.医療施設等災害復旧費補助金等による支援等について
  • 救急医療や在宅医療等の政策医療実施機関という補助対象施設の要件については、地域の医療を面として支え、身近な「かかりつけ医機能」を担っている医療機関を幅広く対象とすること
  • 公的医療機関以外の医療機関の補助率(2分の1)を引き上げること(激甚災害における公的医療機関の補助率と同等以上)
  • 1品につき50万円以下の医療機器を対象に追加すること
  • 人員が限られている被災地の医療機関等のため、補助事業の周知徹底、申請手続きや実地調査等に関する丁寧な説明、手続きの簡素化、補助金の早期交付等に十分配慮すること
  • 他の財源による場合を含め、被災地の医療機関、被災地行政や医師会等による仮設診療施設等の設置・運営に係る費用の補助をすること
2.被災地の医療・介護従事者の確保について
  • (一部)業務を停止している医療機関や介護施設等の従業者(看護職、介護職、事務職等)の雇用を維持するため、人件費を支援すること。また、被災地での住居確保を含め人員確保のための支援策を講じること
  • 地域医療を担う看護職養成の継続を支援すること(1の補助金による学校建物の復旧の他、被災学生の授業料等の支援)
3.他省庁との連携について
  • 被災地の医療機関等の復旧に必要不可欠なライフラインの修繕・強靭化等のため、関係省庁と連携すること
  • 中小企業庁の「なりわい再建支援事業」について、今回は個人立の他、医療法人立医療機関も対象となることやその窓口等について周知し、希望する医療機関が確実に補助を受けられるよう配慮すること
  • 新幹線敦賀延伸による「3.16問題」のために、2次避難施設からの早期の退去が迫られる避難者が散見され、不安が広がっている。仮設住宅の建設やライフラインの復旧等、いわゆる1.5次避難所、2次避難所に避難している被災者の多くが能登半島北部に安心して帰還できる状況となるまで、これらの避難所を存続させること
  • 被災医療機関に適用されうる財政支援制度(補助、無利子・低利子融資等)を所管する他省庁と連携の上、当該医療機関が最適な選択をすることができるよう、さまざまな支援策を取りまとめの上で示すこと
  • 被災地支援が長期化する可能性が高いため、被災県である石川県医師会によるチームを含め日本医師会医療チーム"JMAT"等の医療活動を支える災害救助法(災害救助費の支弁)の適用期間を必要に応じて延長すること

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる