日医ニュース
日医ニュース目次 第1170号(平成22年6月5日)

日本医師会年金制度改定に関するQ&A

 本紙第1168号にてお知らせしましたように,日本医師会年金制度は平成22年10月1日付で制度改定を行います.今回,それを補完説明するために,改定に関するQ&Aを以下のとおりまとめましたので,ご参照ください.

Q.なぜ,今,改定する必要があるのですか.

 日本医師会は医師が自らの生涯設計に不安を抱くことなく,安心して地域医療に専念出来るように医師年金制度を創設し,この制度を安定的に維持運営していくために,5年ごとに専門家の助言による財政状況の見直しを行っております.
 このたび,この見直しを行った結果,医師の平均余命が当初の想定よりも伸びていることにより,毎年30億円以上の過大な支払いが発生し,前期決算では46億円に達していることが判明しました.医師の平均余命が伸びる傾向にあることは誠に喜ばしいことですが,一方で年金財政全体に損失を与えることになります.また,基本年金において一部で過剰な支払いになっていることなどが明らかになり,年金財政を適正化するため,今回の改定が必要になりました.

Q.制度改定はどこで検討され,どのように決められたのですか.

 「日本医師会年金規程」の定めにより,5年ごとに行われる年金財政分析の結果に基づいて,年金の専門家で構成する「生涯設計委員会」で検討され,日医役員,日本医学会役員,学識経験者,加入者で構成する「年金委員会」で承認された後,本年2月の理事会で決定されました.

Q.何を改定するのですか.

 医師の平均余命の伸びが年金財政に与える損失(死差損)を防ぐため,予定死亡率の算定根拠を現実に即したものにする必要があります.そこで,現行の「第17回生命表男子死亡率の70%」から,最新(平成19年厚生労働省公表)の「第20回生命表男子死亡率の50%」に変更します.
 →予定死亡率の適正化
 また,基本年金の支給率は,「掛金払込時から年金支給開始(65歳)までの間に死亡した加入者の年金原資を,死亡しなかった者の年金原資に上乗せする(生存者分配)」という考え方により,加算年金の支給率より高く設定されています.一方,その年金原資から加入者の遺族一時金が支給されており,この「遺族一時金」と上記の「生存者分配」が重複した形で“過払い”状態になっていますので,これを解消します.
 →基本年金の過払い解消

Q.予定死亡率,死差損とは何ですか.

 予定死亡率とは,制度に加入している方々の生存状況の見込みです.「計算上の仮定」(見込み)と「実績値」に乖離が生じると,収支に損益が生じ,死差損,または死差益となります.このため,なるべく誤差が発生しないように「計算上の仮定」を修正する必要があります.

Q.今回の改定で,年金月額はどう変わるのですか.

(1)予定死亡率の適正化
 終身年金である基本年金と,加算年金の終身年金が,65歳受給開始の場合,基本的に以下のとおり減額となります.
 
 15年保証終身年金額 → 現行比約87%に減額
 10年保証終身年金額 → 現行比約85%に減額
 
 この改定により,一回当たりの年金額は減少しますが,制度加入者の余命が伸びており受取回数が増えるため,生涯での受取年金総額は,基本的には変わりません.また,加算年金のうち,確定年金につきましては,終身ではありませんので,確定年金部分の減額はありません.
 
(2)基本年金の過払い解消
 この改正による基本年金の年齢別の減額率は,現在コンピューターシステムの変更を急いでおり,8月以降,本紙等でご案内する予定です.

Q.終身年金の削減額の根拠は何ですか.

 予定死亡率を,現行の第17回生命表男子死亡率70%から,最新の第20回生命表男子死亡率50%に改定する結果であり,加えて,基本年金の支給率を,加算年金の支給率と同一に改定する結果です.

Q.改定後の個人別の具体的な年金額はいくらですか.

 改定に伴い,新たなコンピューターシステムの開発が必要なため,数カ月程度時間を要します.そのため,この開発が完了してから,個人別の年金額が計算されます.改定後の「年金額のお知らせ」は,本年11月に制度加入者全員に送付する予定です.

Q.改定は,いつからですか.

 平成22年10月1日からです.
 なお,同年10月29日(金)支払い予定の年金は,対象期間が制度改定前の7月〜9月分ですので,改定前の支給率による年金額です.改定後の年金は,平成23年1月31日(月)に初回として支払われる予定です.(年金受取額が年間5万円未満の場合は,年1回支払いのため,平成23年10月31日(月)が初回の予定)

Q.終身年金から確定年金に変更出来ますか.

 年金の受け取りを開始してからは,変更出来ません.

Q.制度を脱退出来ますか.

 脱退出来ます.通常は,受給者は,脱退出来ませんが,特例措置により基本的に脱退することが可能となります.この特例措置は,制度改定の実施後1年間(平成22年10月1日〜平成23年9月30日)となります.ご希望の場合は,平成22年11月以降お申し付けください.

本件に関するお問い合わせ先

日本医師会 年金・税制課
TEL:03-3946-2121(代表) 03-3942-6487(直通)
(平日9:30〜17:00)

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