このような広告の見出しをご覧になったことがありますか?
バストアップやスタイルアップなどの美容を目的とした、
プエラリア・ミリフィカという原材料配合の健康食品が販売されています。
しかし、このプエラリア・ミリフィカによる危害情報が、
全国の消費生活センターなどに2012年度から2017年4月までの
5年間あまりで209件寄せられています。
年齢別にみると20歳代が69件(33%)と最も多く、次いで40歳代が42件(20%)、30歳代が41件(20%)、10歳代が37件(18%)と半数以上が若い女性です。
嘔吐、腹痛、下痢などの消化器障害や発疹、じんましんなどの皮膚障害のほかに、月経不順や不正出血といった、女性特有の危害事例が多く報告されています。
プエラリア・ミリフィカを含む健康食品の摂取により、ホルモンバランスが崩れていると診断されている事例や、その健康食品の使用をやめるよう医師から指導されている事例も複数寄せられています。
高校生の娘がモデルのブログを見て、バストアップやダイエットのサプリメントに興味を持ち、定期購入で契約。サイトには5回目以降は連絡ひとつで休止でき、90日間全額返金保証と書かれているが、契約日から5ヵ月以上経過している。生理が2ヵ月も遅れていて心配。
2016年6月 滋賀県女性10歳代
ブログサイトのバナー広告からサプリメント販売サイトにアクセスし、最低購入回数4回の定期コースを申し込んだ。服用を継続したところ、生理が止まってしまいサプリメントの服用をやめたら体調は回復した。
2016年5月 群馬県女性30歳代
バストUPとスリムUPを同時にかなえるというサプリを定期購入したところ、全部飲み終わらないうちにバストに発疹が出てきた。医者の治療を受けたが、ホルモンが増え乳腺症が起きているので飲用を止めるよう指示された。
2015年11月 長野県女性20歳代
プエラリア・ミリフィカとはタイなどに分布するマメ科のクズ(葛)と同属の多年生つる植物です。この植物の根には女性ホルモンと同様の働きをする成分を含み、「豊胸によい」、「肌によい」、「若返りによい」などの効果が期待できると言われています。
しかし、健康食品に配合されることのあるプエラリア・ミリフィカの貯蔵根は、日本国内では「医薬品と判断しない原材料」に区分されています。
プエラリア・ミリフィカには、「デオキシミロエストロール」や「ミロエストロール」などの植物性エストロゲンの成分が含まれています。
エストロゲンとは女性ホルモンの一種ですが、大豆に含まれるイソフラボンは植物性エストロゲンの中でも有名です。
プエラリア・ミリフィカには、この大豆に含まれているイソフラボン類より約1000~10,000倍強いエストロゲン活性を持ち合わせていると言われています。
しかし、このような強すぎるエストロゲン活性物質を摂取しすぎると思わぬ健康被害を招いてしまいます。
エストロゲン
プロゲステロン
女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があります。この2つのホルモンは、バランスよく交互に分泌量を変えながら一定の月経周期を保っています。
プエラリア・ミリフィカを
摂取し続けると…
エストロゲン
プロゲステロン
プエラリア・ミリフィカの摂取によって、エストロゲンが常に過剰な状態が続くことによって、女性ホルモンのバランスが乱れて生理不順や不正出血など月経に関する健康危害が起きる可能性が高くなります。
プエラリア・ミリフィカの摂取により、ホルモンバランスが崩れるなどの健康危害が起こる恐れがあります。
プエラリア・ミリフィカは、栽培された地域やその生育年数によって、デオキシミロエストロール、ミロエストロールなどの含有量に大きな差があり一定ではないという報告があります。
各製品を製造・販売・輸入する食品等事業者の所在地を所管する地方自治体が、活性成分の量などを調査した結果、一日最大摂取量目安当たりの、デオキシミロエストロール、ミロエストロールの量は商品ごとで大きなばらつきが見られました。
また、配合量を把握していないなどの理由で、「一日摂取量は不明」とした事業者がいることも明らかになりました。
プエラリア・ミリフィカを含む製品は、成分量が不安定であり、デオキシミロエストロール、ミロエストロールを多量に摂取することにより多大な危害を引き起こす可能性があります。
諸外国においても、ヒトでの十分な安全データが存在しないため、食品としての販売を禁止するなどの措置が多く取られています。
1日の摂取量は100mg以下に制限されています。
現在は食品として販売できません。
食品への使用が禁止されています。
10歳代の女性が腹痛や下痢を起こしたことを発端に、
注意喚起がされています。
新しい原材料が使用されているため、安全性評価を受ける必要があるとされています。当該物の評価に関する情報は確認できていません。
プエラリア・ミリフィカを含む健康食品やサプリメントを摂取し体調に異常を感じた場合には、直ちに摂取を止めて、すぐにかかりつけの医師に相談しましょう。そして医師に、健康食品やサプリメントを摂っていることを伝えましょう。
また消費者庁では、消費者ホットライン(全国共通電話番号 188)を開設しています。気になることがあればご相談ください。
現在、厚生労働省はプエラリア・ミリフィカを含む健康食品の取り扱いについて以下の対応を行っています。
事業者に対して製品の製造管理の見直しを指導
消費者に対しては厚生労働省のホームページなどで情報提供を行なっています。
厚生労働省ホームページ
食品安全委員会
日本医師会は、健康食品で健康被害が生じないよう、国に対して積極的に要望や発言を行っています。
また、会員である現場の医師に対して、プエラリア・ミリフィカによる健康被害に関する注意喚起をしています。
日医会員が健康被害の患者を診察した際には、その情報を集約する健康食品安全情報システム事業を実施しています。
過去にも、プエラリア・ミリフィカによる健康被害報告がありました。
この健康食品は本当に必要かどうか十分に検討し、ご利用には慎重なご判断をお願いします。
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