病気かな?と思ったら! 症状をみるポイントをご説明します
子どもはみずから症状を訴えることや、うまく表現することができません。そばに居るおとなが常に観察する必要があるのです。病気の時の症状の把握には「健康な状態のときの子どもを知っていること」が大切です。正常な状態を知っているからこそ、異常が速やかに発見できるのです。
ここで、具合の悪い子どもの症状と、それを見るポイントについて考えます。
まず子どもの全体を見ます。熱がある、元気がない、ゴロゴロしている、食欲がない、大人にべたべたする、よく泣くなどの点をチェックします。次に体のいろいろな場所から訴える症状を観察します。まず痛みの伴う訴えです。上から頭が痛い、目が痛い、耳が痛い、口が痛い、のどが痛い、胸が痛い、おなかが痛い、手足が痛い等の痛みです。さらに体の中に通じる入り口や出口からの訴えです。入り口や出口というのは「目、鼻、口、耳、肛門」等です。
〈目〉目が赤い、目やにが出る、目がかゆい。
〈鼻〉くしゃみが出る、鼻水が出る、その性状(水っぽい、どろっとしている)、鼻が詰まっている、鼻血が出る。
〈耳〉耳だれが出る、耳が痛い、耳がくさい、聞こえが悪い。
〈口〉食欲がない、吐く、せきをする、のどが痛い。
〈肛門〉便の色、性状、回数を把握して便秘や下痢の有無をチェックします。
〈おしっこ〉回数と出たおしっこの色、おしっこしたときの痛みの有無です。
以上、穴をチェックした後は皮膚全体を見ます。
皮膚が蒼白かどうか?、発疹があるかどうか?、あればどんな発疹か?、かゆみがあるかどうか?それ以外の皮膚の変化としてはあざや傷です。それらが以前からあったのか、新しいものかをチェックします。
また、おでこや体の皮膚を直接触り、熱があるかどうか判断します。特に注意しなければならない「体温」について少し詳しく書きたいと思います。
人は常に一定の体温を保つことができる恒温動物です。これは体に体温調節機能があるからです。夏の高温環境では体に熱がこもらないように汗で熱を外に出します。そのためには常に水分の補給が大事です。反対に冬の低温環境では熱が外に出ないように厚着をし、体を小さくしみずから体を震わせて熱をつくり出します。年齢が低いほどこうした調節能力が弱いので、その分おとなが注意する必要があります。
風邪などで熱が出るときは、体に侵入してきたウイルスを退治するために体温を上げることで対応しようとします。熱が上がるときは寒い環境と同じことが起きるのです。皮膚の表面を流れる毛細血管を細くすることで熱が外に出ないようにします。その結果、顔色は蒼白になり、手足は冷たくなります。さらに熱を上げるために体を震わせます、これが「悪寒」「戦慄」という状態です。
指令通り体温が高熱になると、もう熱を溜める必要がなくなり、体は熱く皮膚は赤くほてった状態になります。病気が治り熱が下がる時は、熱を外に出そうと夏の暑い環境と同じように汗を出すのです。これらは体が指令している発熱ですが、高温環境下での熱中症の発熱は、調節不能状態の発熱です。この場合は緊急事態として、速やかに熱を下げる対応が必要です。
こうしたポイントをおさえて、子どもの状態を見守りましょう。