麻しんは、一般的には「はしか」と呼ばれ、高熱や全身の発しんなどを引きおこします。麻しんウイルスによっておこる感染症で、その感染力はきわめて強く、麻しんウイルスに対する免疫力のない人が感染すると大部分の人が発症します。回復までに時間がかかり、合併症も多く見られるため、重症な病気といえます。
インフルエンザウイルスと同じように、麻しんウイルスにも遺伝子の異なるいくつかの「型」があります。
「はしかは乳児がかかる病気」というイメージを持つ人が多いと思います。確かに乳幼児がかかりやすい病気ですが、近年では10〜20代の患者が増加する傾向にあります。たとえば、2007年には大学で流行し、関東の大学を中心として休校が相次ぎ、社会の注目を集めました。
厚生労働省は2007年、このようなはしかの流行に対して、2012年を目標とした「麻しん排除計画」を策定し、本格的な取り組みを開始しています。
かつては小さい頃にはしかに感染し、自然に免疫を得るのが通常でしたが、乳児期での麻しんワクチン接種の広まりによって患者数は激減し、流行の規模や頻度も減少しました。
また、ウイルスに感染する機会が減ったために、ワクチン接種を受けても免疫がつかなかった人が感染しないまま成人したり、ワクチン接種で得た免疫が10年以上経て弱まったことがこの流行の要因としてあげられます。
こうした人たちが集まる場所、たとえば大学などにウイルスが持ち込まれると、免疫のない人や弱い人の間で大流行が起こるわけです。
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