図は、正常な肛門の断面図です。直腸(粘膜)と肛門(皮膚)の境目には歯状線というギザギザの溝があり、ここを境にして痛みを感じるかどうかが分かれます。つまり、粘膜の直腸部分には知覚神経がないため痛みを感じませんが、皮膚である肛門の部分は知覚神経が豊富にあるので痛みを感じるのです。
また、肛門と直腸下部周辺には血管が網の目のように張り巡らされた静脈叢(じょうみゃくそう)があります。特に直腸の内痔静脈叢(ないじじょうみゃくそう)は、肛門をぴったりと閉鎖するためのクッションのような役割を果たしています。
痔は、肛門部周辺に負担がかかり、静脈叢の血液の流れが滞ることによって発生する病気の総称で、痔疾(じしつ)ともいいます。
性別や年齢に関係なく、便秘や下痢、長時間の同じ姿勢などで肛門に負担をかけることで、誰もがなる可能性がある病気です。ただ、女性に特有の原因として、妊娠や出産による痔があります。
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