裂肛(れっこう)
太く硬くなった便の排泄で、肛門の出口付近が切れる痔です。一般に“きれ痔”と呼ばれます。
肛門の後方(尾骨の側)に生じやすく、排便のときに強く鋭い痛みを感じます。この痛みのため、排便を先延ばしにするため、便が硬くなってさらに切れやすくなるという悪循環に陥りがちです。また、裂肛は便秘だけでなく、慢性の下痢で起こることがあります。これは、肛門の皮膚がたびたび下痢便に触れることで炎症を起こし、少しの刺激で切れやすくなるわけです。
痔瘻(じろう)
痔瘻は“あな痔”とも呼ばれ、文字通り直腸と肛門付近の皮膚の間に膿の通り道となる穴ができる痔です。
直腸と肛門の境である歯状線には、肛門小窩という穴が5〜8個あります。この穴は、内肛門括約筋と外肛門括約筋の間にある肛門腺という器官に連絡しています。健康なときは何でもないのですが、抵抗力が弱ったときなどは、この穴から便中の細菌が肛門腺に感染して、膿がたまることがあります(肛門周囲膿瘍)。
膿がたまっている状態では患部の腫れ、高熱、激しい痛みを伴いますが、肛門近くの皮膚に通じる膿の通り道(瘻管)ができて排出されると、これらの症状は治まります。
なお、膿が外に排出されず、直腸の周囲に炎症が進行する場合もあります(直腸周囲膿瘍)。これは、初期には痛みがないため、進行して初めて気づくことが多く、重症化しやすい特徴があります。
いったん膿の通り道ができると、自然にそれがふさがることはありません。また、痔瘻を放置すると瘻管が枝分かれして網目状に増えたり、ガンが発生することもあります。
|