検診は自覚症状が無い時点で行われることから、がんが進行していない状態で発見することが出来ます。がんが不治の病と言われたのは昔の事で、現在では早期発見、早期治療でがんはその多くが治ります。
一方、症状を感じて受診した場合には、がんが進行している可能性もあり、臓器によっては治すことができない場合が多くなります。
がん検診では、がんになる前の病変が発見されることもあります。子宮頸部異型上皮、大腸腺腫(ポリープ)等の前がん病変は、それを治療することでがんになることを防ぐことができます。
「偽陰性」とは、がんを見逃してしまう事です。
がんが見つけにくい場所や形をしている場合には発見できない事があり、検査の精度は100%ではありません。ただし、初回の検診でがんと診断できなかった場合でも、毎回(肺がん・大腸がん検診は1年に1回、胃がん・子宮頸がん・乳がん検診は2年に1回)検診を受け続けることにより、がんを発見できる確率は高まり、がんによる死亡を回避する可能性も高くなります。このため、がん検診は単発の受診ではなく、適切な間隔で受け続けることが必要です。
「偽陽性」とは、検診でがんの疑いがと判定されて精密検査を行っても、がんが発見されないことを指します。
精密検査が必要となるのは、がんの疑いを除外するためと、がんであることを確かめるための2つの意味があります。要精密検査とされた場合でも、真にがんと判断される(陽性反応適中度)のは、胃がん検診では1.50%、最も可能性のある乳がん検診でも4.15%にすぎません。むしろ、多くの人々が「がんではなかった」という結果を受け取ることになります。その間、受診者の方に心理的負担がかかりますが、早期発見、早期治療のためにはある程度やむをえないことではないかとも思います。
「過剰診断」とは、生命を脅かさないがんを発見することです。
がん検診で発見されたがんの中には進行がんにならずに消えてしまったり、そのままの状況に留まったりするため、生命を脅かすことがないものもあります。現在の医療では、どのようながんが進行がんとなるのか、生命予後に影響を及ぼすかはわかっていません。早期治療を考えると、このようながんにも通常のがんと同じような検査や治療が行われるケースがあります。