石井正三常任理事は8月19、20日の2日間にわたって、フィリピン・マニラ市で開催されたアジア太平洋経済協力(以下APEC)フォーラムに出席した。
APECでは、加盟21カ国の持続的発展を支援するために、2010年に「APEC域内中小企業のビジネス戦略」を構築。本フォーラムは、域内の患者に最善の医療を提供するために、医療機器、バイオ医薬品産業、医療専門職、患者団体及びその他利害関係者間で倫理的協力をすることで、中小企業が国境を越えたビジネスを持続的に運営し、従事する能力を強化することができるとして、医療機器・バイオ医薬品セクターにおける中小企業のための倫理環境の推進を図るための方策を、倫理面から検討するために設けられたものである。
今回のフォーラムは、2013年のバリ島、2014年の南京市に続いて開催されたもので、APECフォーラムからの横倉義武会長への招聘に応じて、同常任理事が出席したものである。
同常任理事は、19日のセッション「倫理的ビジネス慣行強化のためのさまざまな利害関係者の協調」において、バイオ医薬品セクターにおける企業の高水準な倫理的慣行を積極的に支援するために、政府、医療専門職、その他利害関係者が産業界とどのように協調していけるかをテーマとした議論に参加。
また、20日のセッション「医療専門職による対話:患者を第一義とする企業との倫理的関わりの推進」では、世界医師会「ジュネーブ宣言」で患者の健康を第一義としていること、同「ヘルシンキ宣言」で倫理委員会、研究倫理委員会のあり方に言及していることを紹介するとともに、「日医でも『医の倫理綱領』を作成し、会員の倫理意識の向上に努めている」と述べた。
なお、当フォーラムでの議論の成果として、「医療機器及びバイオ医薬品における多様な利害関係者間の倫理的協力を実施するための指針」が採択された。
参加は、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ペルー、フィリピン、シンガポール、タイ、アメリカ、ベトナムの15カ国1地域から、約300名であった。
- 完成した新レイテ医師会館
- 石井常任理事は、フォーラム終了後の21日にレイテ島に移動し、2013年11月に発生したフィリピン台風30号被害に対する日医会員からの義援金で建設されたレイテ医師会新会館を視察。同医師会のエルビラ・カサール会長、ミーナ・タグラ前会長他役員から、新会館が地域の緊急支援拠点としての機能を有し、地域住民の健康イベントにも活用されるなど、医師会活動及び地域医療の拠点となることが期待されるとの説明を受けた。
当会館の建設は、日医、福山市医師会、AMDAの合同復興支援事業として実施されたことから、建物には三者の支援に感謝する銘板が掲示されている別記事参照。