栃木県内の医療機関には、毎年相当数の初期臨床研修医が新たに赴任してくる。ところが、2年間の初期臨床研修が終了すると、かなりの数の研修医が、首都圏の大学附属病院や人気のある医療機関に戻ってしまう。また、栃木県内に残った研修医に関しても、そのほとんどは医師会に入会することなく、勤務医として就業している。
このような現状認識から、「より多くの研修医に栃木県に残ってもらおう」「医師会入会者を一人でも増やそう」という目標に向けた第一歩として、まず、「医師会や県が研修医との交流を深め、異なる医療機関に勤務する研修医同士の交流を深める」ところからスタートしようという趣旨で、「臨床研修医交流会」を、栃木県医師会と栃木県が共同で開催することを企画した。
初期臨床研修医が勤務している基幹型臨床研修病院は、栃木県内に10カ所ある。これらの医療機関から指導医の代表の方に運営委員として参加して頂き、研修医にとって興味ある企画を検討した。
さまざまな検討を重ねた結果、7月10日(金)に初めて「臨床研修医交流会」を開催する運びとなった。
当日は、初期臨床研修医66名を含めた総勢105名の参加者で賑わった。
太田照男栃木県医師会長と福田富一栃木県知事のあいさつから始まり、宮原保之同県医師会常任理事が「栃木県医師会の活動」について、森澤隆栃木県保健福祉部医療政策課長が「栃木県の取り組み」について、それぞれ紹介を行った。
メーンイベントの特別講演は、生坂政臣千葉大学医学部附属病院総合診療部教授に、「GMカンファレンスin栃木─a ballpark diagnosis─」と題してご講演頂いた。
一部の指導医も参加しつつ、研修医全員に"高校生クイズ"形式の二者択一問題を5題出題し、勝ち残った4名の研修医に対して、"ドクターG"形式での講演が行われた。どちらの形式の講演も大変好評で、会場は熱気に包まれていた。
特別講演終了後は、会場を移して懇親会を実施した。懇親会では、各医療機関から研修医の紹介を行って頂き、初対面の研修医同士が交流を深めることができるように配慮した。
4名の勝ち残った研修医には、後日、県医師会からプレゼントが贈られることも発表され、懇親会も特別講演を上回る賑わいだった。懇親会ではアルコールも入るので、各医療機関まで送迎車を手配しておいたことも、成功の一因だったようである。
来年も多くの研修医に参加してもらえるように、企画を工夫していきたいと考えている。