秋田県は高齢化率トップを走っている。必然的に認知症患者は増加の一途をたどっている。秋田県では認知症疾患医療センター(地域型)は平成25年10月大仙市の地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立リハビリテーション・精神医療センター内に初めて開設され、今年度には秋田市内にも開設される予定である。面積が全国6番目に広い県であることを考えても更なる開設が強く望まれる。
秋田県医師会は、増加の一途をたどる認知症患者を各科の医師が協力して支える全県的な医療システムの構築を目的として、平成19年に認知症等診療ネットワーク委員会を立ち上げた。「等」を入れたのは高次脳機能障害の患者も含めるためであった。
以後、認知症サポート医の養成を開始し、認知症の研修会や介護・福祉・行政との合同研修会などを開催してきた。平成24年10月には秋田県医師会長から「認知症等診療ネットワーク協力医(以下、ネットワーク協力医)」の委嘱状が発行されるに至った。平成27年度初めには、認知症サポート医44名(秋田県のHPで公表)、ネットワーク協力医108名(秋田県医師会のHPで公表)となっている。
秋田県医師会は当初から秋田県と共同で認知症患者への取り組みを行い、認知症対策は県にとっても大きな課題として、少なくともその医療に関しては県医師会がある程度先導する形で進めてきた。オレンジプランなどで厚生労働省から示された研修会については、秋田県医師会と秋田県が共催で実施してきた。
秋田県では、平成18年に示された「かかりつけ医認知症対応力向上研修」については、「秋田県認知症診療研修会」と称して、平成20年から毎年2~3回県内各地で開催している。平成22年に示された「認知症サポート医フォローアップ研修」については、ネットワーク協力医も含めたフォローアップ研修会として平成22年から開催している。
更に平成24年度には「一般病院の医療従事者に対する認知症対応力向上研修」を、平成25年2月8日に開催した。
秋田県独自の研修会としては、県と県医師会が共催で「秋田県認知症診療ネットワーク研修会」を平成21年から年1回開催している。医療・介護・福祉・行政が情報交換し、お互いの理解を深め連携強化を図るのが目的である。内容は、認知症サポート医による教育講演、現場で実際に認知症患者に対応している医師・介護スタッフ・福祉関係者・行政担当者らによる基調講演とパネルディスカッションである。
平成26年には秋田県医師会の認知症等診療ネットワーク委員会の委員を一新し、各郡市医師会推薦委員10名、認知症疾患医療センター長1名、認知症の医療に先進的な病院長1名、県健康福祉部長寿社会課2名(課長含む)で構成した。認知症サポート医もネットワーク協力医も相当な人数となったため、今後は秋田県と共同で一層具体的な活動に踏み込むためである。
県内各地域では認知症ケアパスを作成しつつあるが、そこには認知症サポート医と共にネットワーク協力医も掲載されている。
以上、秋田県医師会の認知症患者への取り組みを紹介したが、秋田県医師会では独自の診療ネットワークを構築し、その協力医が専門性を越えて普段の診療の中で認知症患者へも対応し、最近では県内各地域で作成する認知症ケアパスにも協力している。