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平成28年(2016年)6月13日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース

精神保健委員会(プロジェクト)答申「長期入院精神障害者に対するアウトリサーチを含めた地域移行のあり方」について

 松本純一常任理事は、6月8日の定例記者会見で、精神保健委員会(プロジェクト)が、会長諮問「長期入院精神障害者に対するアウトリーチを含めた地域移行のあり方」について答申を取りまとめ、5月20日に河崎建人委員長(日本精神科病院協会副会長)から横倉義武会長に提出したとして、その概要を説明した。

 内容は、 (1)はじめに、(2) 精神科病院における入院治療の現状、(3)精神科病院における入院治療のこれまで、(4)長期入院精神障害者に対する地域移行のあり方(精神科病院の立場から)、(5)長期入院精神障害者に対する地域移行のあり方(精神科診療所の立場から)、(6)長期入院精神障害者の地域移行に向けたアウトリーチのあり方、(7)まとめ、(8) 全体総括(提言に代えて)―の8項目を柱に、取りまとめられている。

 本答申では、平成16年に「入院医療中心から地域生活中心へ」という精神保健医療福祉政策に関する国の基本的な方向性が確立して以降、「精神科医療の質の向上」「精神病床の機能分化」「長期入院精神障害者の地域移行の推進」が重要課題とされてきたにもかかわらず、実効性のある方策は示されていないとした上で、精神科病院及び精神科診療所のそれぞれの立場からみた地域移行のあり方等について、具体的な提案を示したものとなっている。

 その中では、特に、地域移行の推進のためには、長期入院者を生んだ要因をしっかりと把握した上での施策や体制整備が必要であり、実現のためには国と地方自治体の責任が不可欠と指摘している。また、精神科診療所を有力な社会資源と位置付け、わが国独自の精神保健医療福祉体制の構築として、その専門性を高め、機能分化することで、外来精神科医療機能の更なる強化が期待されるとしている他、地域の連携を充実させるためには、精神科診療所の持つ「つなぎ・つながる機能」をより進めることが重要であるとするとともに、外来医療におけるコメディカルの役割の正当な評価が必要と指摘している。

 更に、アウトリーチについては概念や内容が明確に確立されていないことから、本答申では保健中心型、医療中心型、福祉中心型の3類型に分類し、対象に応じた適切なアウトリーチの提供とその評価の重要性について言及している。

 その上で、長期入院精神障害者の地域移行については、地域全体として精神障害者に対する理解や偏見解消を進めるための体制構築が極めて重要であり、同一診療圏域における精神医療関係者の病診連携は当然のこと、病院・診療所・地域事業所・行政が連携した、いわゆる「精神障害者地域包括ケア」の早急な構築が必要だと強調。これらの実現のためには、精神保健医療福祉に携わる関係者や国民の意識改革のみだけでなく、財源の裏付けをもった実効性のある施策の遂行が不可欠であるとしている。

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