日医定例記者会見 8月24日
今村定臣常任理事は、日医の「平成29年度医療に関する税制要望」がこのほどまとまったとして、その内容について説明した。
本要望は、会内の医業税制検討委員会で取りまとめられ、8月23日開催の平成28年度第6回理事会において決定したもので、(1)医業経営、(2)勤務環境、(3)患者健康予防、(4)医療施設・設備、(5)その他―についての17項目からなり、そのうちの12項目を重点項目としている。
同常任理事は、(1)のうち、「消費税対策(1)社会保険診療等に対する消費税問題の抜本的解決」について、本年3月に医業税制検討委員会が取りまとめた答申に基づき、現行の非課税制度を前提として、当局が診療報酬に仕入れ税額相当額として上乗せしたとされる2・89%を上回る仕入れ消費税額を負担している場合には、超過額を税額控除または還付できるという、新たな制度の実現を要望する内容になっているとした。
また、「消費税対策(2)設備投資について、特別償却または税額控除等を認める措置の創設」については、消費税率10%への引き上げの延期により、平成29年度の社会保障財源の確保に困難が予想されるとして、抜本的措置が施行されるまでの間、医療機関の消費税負担、とりわけ設備投資による負担を軽減するよう、今年度も重点項目として取り上げたと説明。
「医業の継承・移行」については、持分あり医療法人について、中小企業と同等の取り扱いを求める他、認定医療法人制度が平成29年9月末に終了することから、その期限の延長等を求めているとした。
(4)に関する要望としては、昨年に続いての要望に加えて、「医療機関が取得する新規の器具・備品や建物付属設備などの償却資産の投資に係る固定資産税の軽減」を新たな項目として追加したことを報告した。
最後に、同常任理事は、「消費税対策(1)の要望は、日本歯科医師会、日本薬剤師会、四病院団体協議会との合意に基づいたものであり、医療界の統一見解と思って頂きたい」と述べ、今後、本要望を基に、関係各所へ強く働き掛けていくとした。
平成29年度 医療に関する税制要望(重点項目)
○医業経営
- 消費税対策(1)
社会保険診療等に対する消費税について、現行の制度を前提として、診療報酬に上乗せされている仕入税額相当額を上回る仕入消費税額を負担している場合に、その超過額の還付が可能な税制上の措置を講ずること。 - 消費税対策(2)
消費税対策(1)の措置が施行されるまでの間、青色申告書を提出する法人または個人が、医療の質の向上または生産性の向上に資する一定の固定資産を取得し医療事業の用に供した場合には、10%の税額控除または即時償却を認めるとともに、登録免許税・不動産取得税等の特例措置を創設すること。 - 医業を承継する時の相続税・贈与税制度をさらに改善すること。
①持分の定めのある医療法人に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度の創設。
②認定医療法人について相続税法第66条第4項の適用を受けないよう必要な措置を講じた上で期限を延長すること。
③出資の評価方法の改善。 - 持分のある医療法人が持分のない医療法人に円滑に移行できるように、医療法人のための移行税制を創設し、以下の措置を講ずること。
①移行時において、出資者にみなし配当課税を課さないこと。
②医療法人に相続税法第66条第4項の規定の適用による贈与税を課さないこと。 - 社会保険診療報酬に対する事業税非課税存続。
- 医療法人の事業税について特別法人としての軽減税率課税存続。
○勤務環境
- 少子化対策として、ベビーシッター経費を特定支出に含めるなど特定支出控除の適用範囲を拡大するとともに、勤務必要経費の上限額を拡大すること。
○患者健康予防
- たばこ税の税率引き上げ
○医療施設・設備
- 病院等の医療用機器に係る特別償却制度について、中小企業投資促進税制と同等の措置が受けられるよう、特別控除制度の導入、特別償却率の引き上げ、適用対象となる取得価額の引き下げの措置を講ずるとともに、適用期限を延長すること。
- 中小企業投資促進税制の適用期限延長及び適用対象を拡充すること。
- 医療機関が取得する新規の器具・備品や建物付属設備などの償却資産の投資に係る固定資産税を軽減すること。
○その他
- 社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)存続。
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日本医師会年金・税制課 TEL:03-3946-2121(代)