ハーバード大学にて〔ウィリアムズ学院長(前列中央)、ライシュ教授(前列右)、バンプ准教授(後列右から2人目)〕
ハーバード大学にて〔ウィリアムズ学院長(前列中央)、ライシュ教授(前列右)、バンプ准教授(後列右から2人目)〕
横倉義武会長は8月31日、松原謙二副会長、道永麻里常任理事、阿部計大医師〔JMA―JDN(ジュニアドクターズ・ネットワーク)代表〕らと共に、ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)武見国際保健プログラム(以下、武見プログラム)の視察を行った。
マイケル・ライシュ主任教授とジェシー・バンプ准教授と面談した横倉会長は、日本の医療の現状と課題として、消費税率10%への引き上げ延期による医療財源の問題、高齢化対策、都道府県における医療提供体制の見直し、高額医薬品における財政的課題、感染症、薬剤耐性の問題、"One Health"(人と動物の共通感染症対策)における獣医師との連携、本年11月に開催予定の「第2回世界獣医師会-世界医師会"One Health"に関する国際会議」等を説明。更には、医療の国際貢献として、政府によるアフリカ支援が経済面だけでなく、エボラ出血熱等の公衆衛生危機にも対応するためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成等への協力など、医療も含まれたことを紹介した。
ライシュ教授からは、来年東京において武見シンポジウムの開催を企画しており、そのテーマとして、「地域医療システムの構築と皆保険の実現」"Building Community Healthcare System―Moving Forward to Universal Health Coverage―"に向けた取り組みを考えていることが示された。
続いて、本年7月1日に就任したミシェル・ウィリアムズ学院長と面談。その中では、武見プログラムは1983年の設立以来30有余年にわたり途上国を主とした50を超える国から270名を超えるフェローが参加し、国際保健、公衆衛生を学ぶというユニークな学際的プログラムとして、ハーバード大学において高い評価を得ているとの認識を改めて共有し、日医の協力の下で将来にわたり当プログラムを継続していくことを両者で確認した。
その後、11名の武見フェローによる研究内容の報告を受け、横倉会長らがそれぞれにコメントを述べた。
第33期となる武見フェローには、当日欠席となったエチオピアとブルキナファソのフェローを加えた6名がアフリカからのフェローとなるなど、近年低所得国からのフェローが増加している。これは、2013年の当プログラム設立30周年記念事業として日本製薬工業協会が新たに設けた奨学金制度によるものと考えられる。
横倉会長らは、その後、ハーバード大学のキャンパスを視察。同大学Faculty Clubでの夕食会では、ライシュ教授、バンプ准教授、武見フェロー、河内一郎HSPH教授、日本人研究者と懇談を行った。
また、8月30日には、原丈人ワールド・アライアンス・フォーラム代表の紹介により、新薬開発に関わる再生医療のベンチャービジネスを行っているボストンのオリジン(ORIG3N)社を訪問。更に前日の29日には、ニューヨークのJETROニューヨークセンターを訪問し、川端裕之駐在員(厚生労働省)と面談。Health UNICEF New Yorkの有井麻矢医師も同席し、オバマケアの下でのアメリカの医療事情、大統領選挙の動向とヘルスケアに関するそれぞれの考え方について、情報共有及び意見交換を行った。