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平成28年(2016年)10月13日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

生涯保健事業の体系化に向けた共同宣言について

 横倉義武日医会長は10月12日、健診事業における質の評価と向上を図るための対策の推進を目的に、平成22年に設立された「日本医学健康管理評価協議会」の構成団体の代表者らと共に記者会見を行い、同協議会が『国民のための生涯保健事業の体系化に向けた共同宣言』(別掲)を取りまとめたことを公表した。

 横倉会長(同協議会顧問)は、「日医は、かねてより、国民のライフステージに応じて実施されている健診データ等を、信頼できるID番号を活用し、厳格な個人情報保護を前提として一元的に管理し、国民個々人の健康増進や健康管理に活用することの重要性を訴えてきた」と述べ、今後も、健診関係団体と共に、国民のための生涯保健事業の体系化に向けた取組みを進めていきたいとした他、これらの取組みについて、国や地方自治体、医療保険者などに対しても理解と支援を求めていく考えを示した。

 堺常雄日本病院会長(同協議会幹事)は、「行政にはさまざまな健康関連のデータがあるにもかかわらず、国民主体の管理にはなっていないのが非常に残念」とした上で、最近は、保健、医療、在宅介護等の一連の健康管理が重要になっているが、「健診だけでなく在宅介護のデータ管理、共有化がなかなかできていない状況であるので、それも含めてわれわれが提言していく必要がある。健診関連の業種が集まって共同宣言をするのは意義がある」と述べた。

 西澤寛俊全日本病院協会長(同協議会幹事)は、「健診を行っている事業所ごとにデータ処理が違うことは利用者に迷惑をかけているのではないか。各事業所のデータが横断的に活用されることは利用者から見ても望ましいことであり、IT化の世の中で、関連団体と協力しながら検討を進めていきたい」とした。

 続いて、羽鳥日医常任理事が共同宣言に至る経緯と健診標準フォーマットの概要について説明。日医が、平成29年度予算の概算要求の中で、健診実施機関のシステム変更に対する費用の補助や健診標準フォーマットの運用への財政支援を要望したことに言及した上で、健診や人間ドックの結果データに関しては、健診機関が保有するデータの仕様の統一を行う必要があることから、日本医学健康管理評価協議会として、健診データの標準化を目指し、組織・団体間の連携が可能なデータ構築を目指しているとした。

 また、同常任理事は、健診標準フォーマットについて解説した上で、本協議会が設置したワーキンググループでは、3つの共同宣言の実現のため、具体的な検討事項を挙げて取組を進めていくとし、「共同宣言1」のデータの標準化については、品質保証ガイドラインを定め、「共同宣言3」の健診標準フォーマットの普及に関しては、健診機関に与えられるべきインセンティブについて検討を行っていく考えを示した。

 更に、医療等IDによる情報管理のしくみと連動することで、住民への健康管理を支援するしくみの例を紹介し、「国民のための生涯保健事業の体系化のひとつとして、是非実現させていきたい」と述べた。

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