第69回日本医師会設立記念医学大会が11月1日、日医会館大講堂で盛大に開催され、日本医師会最高優功賞、優功賞、医学賞、医学研究奨励賞の授与と、併せて長寿会員慶祝者の紹介、医学賞受賞者による記念講演が行われた(別記事参照)。 |
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冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、受賞者の多大なる功績に敬意を表するとともに、「本年は、大日本医師会が医師の全国組織として大正5年に設立されてから100年目に当たる。プロフェッションとしての医師が学術専門団体である医師会を通じて社会に貢献するという使命と伝統をしっかりと受け継ぎ、次世代に引き継いでいく」と強調。
3期目の執行部では、かかりつけ医を中心とした「まちづくり」、将来の医療を担う「人づくり」、医療政策をリードし続ける強い医師会への「組織づくり」を基本方針に掲げて医療再興に取り組んでいるとし、引き続きの協力を求めた。
続いて来賓を代表してあいさつした塩崎恭久厚生労働大臣(神田裕二医政局長代読)は、受賞者の日頃の精励に敬意を表し、本医学大会の意義を称えた上で、「先の世界医師会総会において、横倉会長が次期世界医師会長に選出されたことを心からお祝い申し上げる。横倉会長の指導力により、日本と世界の保健医療水準が共に向上していくことを期待している」と述べた。
その後、表彰式に移り、受賞者に対して、横倉会長から表彰状と記念品目録が授与された。
最後に、受賞者を代表して、大中正光福井県医師会長が謝辞を述べ、「受賞を契機に一層の研鑽(けんさん)に努める」とするとともに、「医療の進歩を止めることなく、わが国の優れた皆保険制度を維持するため、日医は多くのことを提言しているが、その活動は医療を担う者しかなし得ない。そのご努力に深謝し、全面的に応援する」と述べた。
表彰式終了後には、日本医師会医学賞受賞者による「2光子イメージングと光操作法による大脳シナプスの研究」(河西春郎東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター教授)、「日本における循環器疾患治療のエビデンス」(小川久雄国立循環器病研究センター理事長)、「重症心不全に対する世界初の心筋再生医療製品『ハートシート』の開発」(澤芳樹大阪大学大学院医学系研究科長・医学部長・教授)の3講演が行われた。
また、髙久史麿日本医学会長が、日本医師会医学研究奨励賞を受賞した15名の研究概要を紹介し、大会は終了となった。
なお、白寿会員53名、米寿会員994名の慶祝者には、更なる長寿を祈念して、後日、銀盃が贈呈された。
受賞者一覧
日本医師会最高優功賞 ◇在任6年日本医師会役員 石井 正三(福島)(10年) ◇在任6年都道府県医師会長 大中 正光(福井) ◇医学、医術の研究又は地域における医療活動により、医学、医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し、特に功績顕著なる功労者(都道府県医師会長推薦) ●精神保健福祉事業に著しく貢献した功労者 奥山 保男(宮城) ●広報活動を通じて医療における県民意識を高めた功労者 針生 敬三(秋田) ●地域の医療・介護・福祉の充実・発展に貢献した功労者 中村 雅英(福島) ●脳卒中・認知症研究及びがん診療に貢献した功労者 永積 惇(東京) ●公衆衛生活動及び救急医療体制の充実に貢献した功労者 新海 毅(神奈川) ●在宅医療の推進及び胃がん検診の充実に貢献した功労者 佐野 正俊(新潟) ●母子保健の推進及び周産期医療の充実に著しく貢献した功労者 浮田 俊彦(石川) ●公衆衛生活動及び地域医療連携の推進に貢献した功労者 川出 靖彦(岐阜) ●在宅医療及び災害医療の推進に貢献した功労者 西城 英郎(三重) ●医療・介護保険制度の充実及び大腸がん検診の促進に貢献した功労者 安達 秀樹(京都) ●整形外科医療の発展に著しく貢献した功労者 信原 克哉(兵庫) ●地域医療体制の整備及び公衆衛生活動に貢献した功労者 田中 茂人(岡山) ●母子保健及び産科医療に著しく貢献した功労者 難波 幸一(広島) ●医師会活動を通じて看護師養成に著しく貢献した功労者 鉾石 武一郎(愛媛) ●臓器移植医療に著しく貢献した功労者 杉町 圭蔵(福岡) ●地域医療の充実及び保健衛生活動に貢献した功労者 岩切 孔(鹿児島) ●保健衛生活動を通じて麻疹撲滅に著しく貢献した功労者 知念 正雄(沖縄) 日本医師会会長特別表彰者 ●若年者の心疾患及び生活習慣病の早期発見・予防に著しく貢献した功労者 北村 惣一郎(大阪) 日本医師会優功賞 ◇在任10年日本医師会代議員 沖 一郎(北海道) 古屋 聖兒(北海道) ◇在任10年日本医師会委員会委員 藤原 秀俊(北海道) ◇都道府県医師会長退任者 小田 悦郎(山口) 日本医師会医学賞 ●2光子イメージングと光操作法による大脳シナプスの研究 河西 春郎(東大疾患生命工学センター) ●日本における循環器疾患治療のエビデンス 小川 久雄(国立循環器病研究センター) ●重症心不全に対する世界初の心筋再生医療製品「ハートシート」の開発 澤 芳樹(阪大・心臓血管外科学) 日本医師会医学研究奨励賞 ●遺伝統計学による新しい疾患ゲノム創薬の枠組みの構築 岡田 随象(阪大・遺伝統計学) ●交感神経による適応免疫応答の概日リズム形成機構 鈴木 一博(阪大免疫学フロンティア研究センター) ●大腸がん幹細胞の機能的な同定と新しい治療法開発 佐藤 俊朗(慶大・消化器内科学) ●メタボリックシンドロームの病態形成における臓器間神経ネットワークの意義の解明と治療応用法の開発 宇野 健司(東北大・糖尿病代謝内科学) ●HMG-CoA還元酵素阻害薬による移植心の冠動脈内膜肥厚抑制効果の解析 内山 雅照(帝京大・循環器外科学) ●電算化データを用いた認知症・生活習慣病判定のアルゴリズム開発とダイナミックコホート研究への応用 山岸 良匡(筑波大・公衆衛生学・生活習慣病予防・疫学) ●血管内皮の恒常性維持機構破綻がもたらす臓器線維化機構の解明 金﨑 啓造(金沢医大・糖尿病内分泌内科学) ●蛋白凝集に焦点を当てたアルツハイマー病の病態解明と予防・治療薬開発 小野 賢二郎(昭和大・神経内科学) ●CDC42変異により発症する新規疾患Takenouchi-Kosaki症候群の病態解明 武内 俊樹(慶大・小児科学) ●胃癌腹膜播種に対する特異的分子標的治療薬及びコンパニオン診断法の開発 神田 光郎(名大・消化器外科学) ●難治性四肢潰瘍患者を対象とした新世代型血管・組織再生治療の開発 田中 里佳(順天堂大・形成外科学) ●婦人科がんにおけるがん免疫逃避機構の解明と新規治療法の開発 濵西 潤三(京大・産婦人科学) ●副腎性クッシング症候群における新規腫瘍マーカーの臨床応用 前川 滋克(東大・泌尿器科学) ●精子幹細胞の分化メカニズムの解明と男性不妊症治療への臨床応用 水野 健太郎(名市大・腎・泌尿器科学) ●緑内障眼の房水に含まれるサイトカイン可溶性受容体が緑内障病態および緑内障手術成績に与える影響の検討 井上 俊洋(熊本大・眼科学) 白寿会員 大村 茂夫(北海道) 他52名
米寿会員吉尾 喜美子(北海道) 他993名
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