横倉義武会長は、12月14日の定例記者会見で、薬価をめぐる最近の動きを踏まえた、薬価制度の見直しに関する日医の見解を改めて説明した。
横倉会長は、まず、薬価は従来、中医協で診療報酬と切り離さずに議論されてきたことに言及。「現在、診療報酬とは切り離したところで議論が進められており、これは大変問題である」と改めて危機感を示した。
現行でも、2017年2月にオプジーボの薬価引き下げ、2018年4月には診療報酬と介護報酬の同時改定、2019年10月には消費税率10%引き上げに伴う改定、2020年4月には診療報酬改定―が予定されており、2017年から2020年まで薬価の改定が毎年行われる見込みであると説明。その上で、本来、「イノベーションの推進」と「国民皆保険の持続性」を両立し、「国民負担の軽減」を考慮しながら、「医療の質の向上」を実現するのが厚生労働省の役割であり、その具体的な検討をする場は中医協であるとし、「薬価については、まさに中医協で議論すべきである」と改めて強調した。
また、「薬価と市場実勢価格の乖離率が一定幅以上の品目に限った、部分的な見直しを模索している」との一部報道については、「全ての医薬品を見直しの対象とするものではなく、乖離率が一定幅以上の一部の医薬品を薬価見直しの対象とすることには一定の理解ができる」とする一方、医療技術のイノベーションを評価できる体系にはなっていないと指摘。「医薬品だけでなく、先進的な医療技術の進歩によるメリットを、国民に迅速に提供できるよう、技術進歩を保険診療に採り入れていくことが重要であり、薬価等引き下げの財源は、本体改定財源にきちんと充当して活用すべきである」と主張した。
更に、横倉会長は、「働き方改革実現会議」において安倍晋三内閣総理大臣が、「ベースアップを3年連続で実施してきたが、4年連続の実施をお願いしたい」と述べたことに対して、「医療機関には全国で300万人以上が従事している。医療分野は他の産業よりも雇用誘発効果が大きく、特に医療従事者の比率が高い地方においては経済の活性化に多大な貢献をしており、それを支えているのが診療報酬の技術料である」と強調。
「日医は、今後も、いかに公的医療保険制度を維持しつつ、必要としている患者さんに新しい医療を提供していくかという視点で主張していく」との考えを示した。
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