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平成29年(2017年)2月20日(月) / 南から北から / 日医ニュース

私の散歩法

 私の医院は1階が診療所、2階が自宅となっており、その気になれば1日外に出なくても済む。便利と言えば便利だが、運動不足を自覚し、開業して間もなく散歩を始めるようになった。
 フクロウ型の私は、朝歩くのは気持ちが良いだろうなと思いつつ、いまだに街灯の明かりを頼りに歩いている。愚かなことに夜の9時、10時過ぎより散歩を始める。モチベーションはドラえもんのようになりつつあるお腹と、医師会登山への参加がある。散歩は、飲酒後も可能だし、少しくらい体調が悪くてもできるのが良いと思う。
 最初のうちは、色々町中を歩き回ったが、今は人通りの少ない近所を1時間程歩いてくる。
 2~3年前より、重しを入れたリュックを背負い、両手に石を持って歩いている。最近リュックの重さは8キログラムにしている。誰だか分からないように帽子を目深に被り、手袋に石を握りしめ、花粉の季節はマスクもしているので、自分でもいかがわしい身なりをしていると思う。幾度か遠くを走っていたパトロールカーが、急に近くに寄って来てじっと観察されたこともあったが、最近は見慣れたのか何事もないように通り過ぎていく。ほっともするが、誰だか分かられているようで嫌な気もする。
 水曜日の午後や休日など時間に余裕がある時は、自宅から15分程のきみまち坂へ行く。坂という名前の通り、山とも言えないような小さな山だが、私のお気に入りである。3つの登り道があるが、目立たない舗装されていない所を歩くこともあり、ほとんど人と行き交うことがない。木々を見上げながら1人だけの幸せを感じる。遊びに行く感覚なのでリュックは背負わないことが多いが、たまに3キログラムにして歩いていた。
 家人に笑われるが、近場の旅行の際も、いつものエアークッションシューズ、重しを入れたリュック、石まで車のトランクに入れていく。土手で拾った普通の石で、特別愛着があるわけでもないが、ずっと同じ石を使っている。夏などは公園の水場で洗ったりする。温泉街などではなるべく人通りの少ない方を歩く。わずかな道路の勾配、道端の小さな花、廃屋などを目にし、車で行き過ぎるのとは違う小さな旅があると思う。
 エッサエッサと歩いたからといって無心になるなどということは無い。くだらないこと、失敗したことを引きずりながら歩いているが、終わった後はあまり気にしなくなるのが良い。
 今年も諸事多忙であるが、できるだけ歩く日を多くしたいと思っている。

(一部省略)

秋田県 大北医報 No.250より

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