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平成29年(2017年)6月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

財政制度等審議会 「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」に対する日医の見解を表明

日医定例記者会見 5月31日

 横倉義武会長は、財務省の財政制度等審議会(以下、財政審)が5月25日に「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」を取りまとめたことを受けて、同建議の内容が6月上旬に閣議決定される、いわゆる「骨太の方針2017」に反映されることから、その問題点について、改めて日医の考えを説明した。
 同会長はまず、「診療報酬・介護報酬同時改定」の項目における改定率と国民負担について、財政審が診療報酬本体と賃金・物価の動向を1995年度を100として指数化したグラフを用いて、診療報酬本体が賃金や物価の水準に比べて高い水準になっているとしていることに対して、安倍政権発足後、アベノミクスが始まった2012年度を起点とすると、2016年度の診療報酬本体の水準は賃金や物価よりも低くなることを改めて説明(図)。「財政審のグラフは恣意(しい)的であり、こういった資料の取り扱いは大変遺憾である」とした。

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 その上で、「直ちに診療報酬の引き上げが必要とは言えないが、秋に公表される医療経済実態調査の結果を踏まえて、医療機関の今後の運営を加味した適切な判断が必要」との考えを示した。
 また、厚生労働省より発表された「最近の医療費の動向」(5月19日)では、2016年4月~12月の医療費の伸びは対前年同期比0・2%増であるが、休日数等を補正するとほぼ0%になっていることを説明。その理由について、抗ウイルス薬によるC型肝炎の減少による肝硬変、肝不全の減少と考えられ、イノベーションの成果であるとするとともに、「これまで日医が、健康寿命の延伸、糖尿病患者に対する早期介入、コスト意識を持った処方などを提言してきた成果である」と述べ、引き続き、医療提供側から提言を行っていくとした。
 受診時定額負担については、「かかりつけ医を持つことの重要性という点についての方向性は日医と一致している」とする一方、「かかりつけ医普及の制度的裏づけは始まったばかりで、受診時定額負担が導入されれば、かかりつけ医の普及に水を差すことになり、今後の医療提供に重大な影響を及ぼす」として、その導入に反対する考えを示した。
 その上で、わが国の特徴であるフリーアクセスをしっかりと守った上で、大病院と中小病院・診療所の外来機能に関して引き続き検討を進める中で、大病院の直接受診は救急を除いて是正する必要があるとするとともに、「日医かかりつけ医機能研修制度平成29年度応用研修会」(5月28日開催、別記事参照)に6900名を超える申し込みがあったことを紹介し、日医としても、かかりつけ医の更なる普及と定着に向け努力していくとした。
 また、「地域別の診療報酬の特例の設定」については、「医療は社会的に管理、運営される社会的共通資本であることから、全国一律の単価で提供すべき」と強調。「病床再編に向けた都道府県の権限の整備」については、「まずは、公立病院の非稼動病床を削減し、確実にダウンサイジングすることが重要であるが、公立病院への繰り入れが減っても、これまで活用していた地方交付税の財政措置分を、他の財源に振り替えることなく、これまでどおり社会保障財源として活用すべき」と改めて指摘した。
 更に、「選定療養の仕組みも参考に、後発品の平均価格を超える部分について、原則自己負担とする仕組みを導入すべきである」と、いわゆる参照価格制度の導入についても触れられていることに関しては、「参照価格制度は、社会保障審議会医療保険部会や中医協を始めとする関係審議会での慎重な議論に併せて、政府の成長戦略も勘案することが重要である」とした。
 その上で、「日医は、医療費の増加のみを追求するのではなく、職業的倫理規範をしっかりと順守し、国民が安心して暮らせるような社会保障制度を構築するために、これからも尽力していく」と述べた。

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