日医定例記者会見 8月23日
今村聡副会長は、日医の「平成30年度医療に関する税制要望」について説明した。
本要望は、会内の医業税制検討委員会で取りまとめられ、8月22日開催の平成29年度第5回理事会において決定したもので、(1)医業経営、(2)勤務環境、(3)健康予防、(4)医療施設・設備、(5)その他―についての17項目からなり、そのうちの11項目を重点項目(別掲)としている。
同副会長は、(1)では、消費税対策①に関して、社会保険診療等に対する消費税について、現行の非課税制度を前提として、診療報酬に上乗せされている仕入税額相当額を上回る仕入消費税額を負担している場合に、その超過額の還付が可能な税制上の措置を「早急」に講ずるよう強く求める内容になっているとした。
また、消費税対策②「設備投資に対する特別償却または税額控除等を認める措置の創設」については、消費税対策①で要望する解決措置が施行されるまでの間、設備投資の際の消費税負担を実質的に和らげる税制上の手当てを求めるものだと解説。
更に、「医業の承継」に関しては、持分あり医療法人について、中小企業と同様の取り扱いを求めるとともに、個人立の病院・診療所の承継・相続の際の資産への課税についても、特例制度を創設するよう要望している他、「事業税の特例措置」についても、その重要性と存続を訴えているとした。
(2)では、事業所内保育施設等に対する税制措置の延長・拡充やベビーシッター等の子育て支援サービス利用に要した費用を所得税の控除対象とする措置の創設等を求めている他、(3)では、喫煙による健康被害より国民を守る観点から、葉たばこ農家への影響を踏まえた措置を講ずることを前提として、たばこ税の税率引き上げを求めていると説明した。
また、(4)では、「中小医療機関の設備投資を支援するため、器具備品及び建物附属設備についての税制措置(特別償却若しくは税額控除)の拡充または新たな税制措置の創設」を要望。これについては、「今年度の税制改正で中小企業者等に対する設備投資減税措置がかなり前進したが、『中小企業経営強化税制』においては、医療業・介護事業について、対象設備から医療用機器や建物附属設備が、また、『商業・サービス業・農林水産業活性化税制』においては、医療業が対象業種から除外される等、不利な扱いとなったため、改善を求めるものである」と述べた。
(5)では、社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)について、地域医療の確保のために必要な制度として、存続を強く求めるとした。
重点項目
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消費税 ・消費税対策(1) 社会保険診療等に対する消費税について、現行の制度を前提として、診療報酬に上乗せされている仕入税額相当額を上回る仕入消費税額を負担している場合に、その超過額の還付が可能な税制上の措置を早急に講ずること。 所得税・法人税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税 ・消費税対策(2) 消費税対策(1)の措置が施行されるまでの間、青色申告書を提出する法人または個人が、医療の質の向上または生産性の向上に資する一定の固定資産を取得し医療事業の用に供した場合には、10%の税額控除または即時償却を認めるとともに、登録免許税・不動産取得税等の特例措置を創設すること。 相続税・贈与税 ・医業を承継する時の相続税・贈与税制度を更に改善すること。 ①持分の定めのある医療法人に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度の創設。 ②個人に係る医業承継資産の課税の特例制度の創設。 ③出資の評価方法の改善。 事業税 ・社会保険診療報酬に対する事業税非課税存続。 ・医療法人の事業税について特別法人としての軽減税率課税存続。 所得税・法人税 ・少子化対策及び、病院等に勤務する医療従事者の子育て支援並びに勤務環境を改善するため、下記の措置を講ずること。 ①くるみん税制の適用期限を延長するとともに、拡充すること。 ②ベビーシッター等の子育て支援のサービス利用に要する費用を、税制上の控除対象とする措置を講ずること。 ・雇用促進税制の適用期限延長及び拡充。 ・所得拡大促進税制の適用期限延長及び拡充。 ・中小医療機関の設備投資を支援するため、器具備品及び建物附属設備についての税制措置(特別償却若しくは税額控除)の拡充または新たな税制措置の創設。 ・社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)存続。 たばこ税・地方たばこ税 ・たばこ税の税率引き上げ。 |
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