日医定例記者会見 10月25日
横倉義武会長は、10月22日に投開票が行われた第48回衆議院議員総選挙について、「与党から安藤高夫先生、国光文乃先生が初当選されるなど、8名の医師の先生方が、野党からも4名の医師の先生方が当選された。より良い社会保障の実現のために手を携えて協力していきたい」と述べた。
横倉会長は、定数の3分の2を超える議席を獲得した与党に対して、「政策を実行できる安定した政権基盤により、経済政策を着実に実行し、2019年10月に確実に消費税率を引き上げ、社会保障財源を十分に確保することを望む」とした。
その上で、「これまでも日医が主張してきたように、安心して社会保障を受けることができる環境になれば、消費も増え、経済が活性化し、税収も増え、結果的に財政再建にもつながる」との考えを改めて示すとともに、「今回の政権与党の勝利は、社会保障の充実の実現を期待する国民の思いの表れである」との認識を示した。
更に、総選挙前の9月26日に二階俊博自民党幹事長に対して要望書を手交したことを明らかにし、「本要望は、自民党の公約と総合政策集『J―ファイル2017』に盛り込まれたが、特に『J―ファイル2017』における"成育基本法の制定"と"受動喫煙対策の徹底"は、日医からの強い要望により明記されたものであり、今後の施策に反映されることを期待している」と述べた。
来年度の予算編成に向けて、診療報酬と介護報酬の同時改定の議論が本格化していくことについては、「一部新聞報道では、財務省が"診療報酬改定で2%台半ば以上のマイナス改定を目指す方針"と報じられたが、今回の選挙結果は、お年寄りも若者も安心して暮らし、活躍できるよう、全世代型の社会保障を充実して欲しいという民意の表れではないか。社会保障の中核を担う医療費を抑制することは国民の期待に反するものである」と強調。「診療報酬は『医師の給与に当たる本体部分』と報道されているが、診療報酬の技術料には医師、看護師などの医療従事者の人件費だけではなく、医業経営の原資をつかさどる設備関係費・ランニングコストや医療機器・機材費等も含まれていることを理解して欲しい」とした。
また、「わが国では、医療・介護には就業者全体の11・9%が就業しているが、産業界全体として賃金引き上げの傾向が明らかに見られる中、300万人以上の医療従事者へのベースアップの実施や賃金改定の改善が遅れている」と指摘。「平成30年度予算編成において、適切な手当てを確保するためにも、平成30年度の診療報酬・介護報酬改定はプラス改定とすべきである」と改めて主張した。
最後に、横倉会長は、「2025年に向けて改革が進む中で、来年度の診療報酬・介護報酬の同時改定は非常に重要な意味を持っている。国民が将来にわたって、必要とする医療・介護を過不足なく受けられるよう、これからも引き続き、政府に対して強く働き掛けていく」と述べた。
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