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平成30年(2018年)1月11日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新年に当たって

 横倉義武会長は1月9日、今年初めての定例記者会見に臨み、新年にあたっての所感を述べた。

 横倉会長は冒頭、昨年も天候不順による自然災害が各地で起きたことに触れ、7月の九州北部豪雨の際には、日本医師会災害医療チーム(JMAT)を被災地に派遣し、医療支援等を行ったことを説明した。

 同会長は本年の展望として、「今後、少子高齢化が進む中で、医師会のあり方、役割が非常に重要となる。また、ICTやAIは日々進歩しており、それらを日常の診療に取り入れていくことも不可欠である。改革には勇気が必要だが、国民皆保険制度をより深化させる努力を今後も続けていく」と述べ、本年も執行部一丸となって対応していくとした。

 また、同会長は国内の状況について、「高齢者の増加に伴う人口変動を見据えた第7次医療計画と第7期介護保険事業計画が平成30年度から開始され、地域包括ケアシステムが本格的に動き出す。こうした状況の下で、現時点での医療をめぐる動きとして、診療報酬改定、地域医療介護総合確保基金、終末期医療、今後の社会保障費を抑制するための予防・健康への取り組み、消費増税への対応、働き方改革、医師偏在対策、新たな専門医の仕組みが主に挙げられる」とした。

 更に、高齢化が一層進んでいく中で、終末期医療が重要な課題になってくると指摘。日医の取り組みとして、住民、医療関係者の意識啓発を目的としたパンフレットを作成し、すべての医師会員に周知・徹底を図るとともに、「日医かかりつけ医機能研修制度」のカリキュラムに取り入れる方針を示した。

 同会長は次に、今後激しい議論が予想される『経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)』について、「今後の社会保障費の伸びをどう取り扱うかが議論の焦点になる」とした上で、財政主導で社会保障費の伸びが過度に抑制されることの無いように、日医がこれまでも『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き』の作成など、持続可能な社会保障に向けた提言をしてきたことを紹介。「今後も生涯保健事業の体系化や、22,886名の日本医師会認定健康スポーツ医が地域において積極的に活動を行うなど、健康寿命の延伸などを進めるため、予防・健康の事務局部門を統合・設置し、日医としてもしっかりと取り組んでいく」と決意を述べた。

 加えて、現在重要課題となっている働き方改革にも言及し、「会内に設置した医師の働き方検討委員会の答申も2月までには取りまとめられることから、それらの意見も踏まえながら、引き続き、地域医療の継続性と医師の健康への配慮の2つの立場の整合性をとっていきたい」とするとともに、通常国会に医療法等の改正法案が提出され、医師の地域偏在に対して一定の是正策が講じられる予定になっていることについて、「日医として、プロフェッショナル・オートノミーの下で実効性のある対策ができるよう、努めていく」と述べた。

 最後に同会長は、「国民に寄り添い、国民の健康を守ることが医師の役割であり、その医師の声を基に、国に対してさまざまな政策を提言していくことが日医の役割である」とした上で、「今後も世界医師会とアジア大洋州医師会連合(CMAAO)の会長として、日本のみならず世界に広く目を向け、理念を高く掲げ、人々の健康、福祉の向上に努めていきたい」と結んだ。

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