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平成30年(2018年)3月20日(火) / 日医ニュース

高齢者の自動車運転に思うこと

 交通事故による死亡者数は年々減少しているが、死亡事故件数のうち高齢運転者の割合は、増加傾向である。その対策として、75歳以上の認知機能検査を強化することを柱とした改正道路交通法が昨年3月に施行された。
 当初、認知機能検査で第一分類と判断され、診断書を求められる高齢者が急増すると予想され、認知症専門医のみでは対応できないことから、かかりつけ医にも診断書記載の協力が求められた。法改正後1年を経過したが、大きな混乱なく手続きが進められているように見える。
 日頃、専門医として診断書記載を求められることが多い。結果の重大性を考え情に流されて判断することはないが、個々の生活の背景を知ると苦慮することが少なくない。
 「軽トラックで数百メートル先の田んぼに行くだけ」「長年、無事故・無違反で運転に問題はない。免許証を取り上げられると家族が困る」などと運転継続を懇願される。一方、付き添いの家族などから「運転が荒い。車のキズ、ヘコミが絶えない。運転をやめて欲しいけど、言うと怒る」などと言われることもある。時間をかけて話しているうちに、自主返納される方が少なくないのも事実である。
 認知症の症状・経過の多様性を考えると実車テストの実施等、今後見直さなければならない点は決して少ないわけではない。今回の法改正の高齢運転者による死亡事故対策としての実効性、及び処分を受けた高齢者のその後の生活が気になる。

(榮)

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