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平成30年(2018年)8月20日(月) / 日医ニュース

「次世代医療基盤法」について国主導による徹底的な説明を求める

安倍総理の前で講演する横倉会長(右端)安倍総理の前で講演する横倉会長(右端)

安倍総理の前で講演する横倉会長(右端)安倍総理の前で講演する横倉会長(右端)

 第22回健康・医療戦略推進本部(本部長:安倍晋三内閣総理大臣)が7月25日、総理官邸で開催され、有識者として招かれた横倉義武会長が、「生涯保健事業の実現と医療ビッグデータの利活用」をテーマとした講演を行った。
 同会長は、まず、日医として「本年2月16日に閣議決定された『高齢社会大綱』で示された数値目標の達成に向けて、健康寿命が延伸される施策をこれまで以上に推進していく」と述べるとともに、健診等のデータが一元的に管理されず、国民の健康情報が十分に活用できていないという制度的な課題に対し、「生涯保健事業の体系化」の重要性を訴えてきたことを紹介。「今後は一元的に管理されたデータを個人ごとに本人の閲覧を可能とすることで、自らの健康情報として日常生活に反映できるようにし、国民の健康資本を増大させることが重要である」と強調した。
 更に、わが国が誇る世界最高水準の社会保障制度を将来にわたって堅持していくためには、健康寿命の延伸によって、高齢者が社会を支える側となれるようにすべきであるとの見解を示し、「国民一人ひとりの生涯を通じた健康管理に資する取り組みにつなげるために、健診・検診から得られたデータについて、厳格な個人情報保護の下で一元的に管理し、個々人の健康、保健、医療のために活用するシステムづくりが必要である」と主張した。
 関連して、5月11日に施行された「認定匿名加工医療情報作成事業者」創設を柱とする「次世代医療基盤法」に言及した同会長は、かかりつけ医を中心とした医療情報、健・検診情報、介護情報、そして死亡情報、生活情報など重要なファクターが加わった医療ビッグデータの利活用によって、国民の健康維持・増進施策が更に発展するとの考えを示すとともに、生涯にわたる生活保健医療福祉情報の安全な蓄積に基づくデータの利活用が促進されることによって、「国民への保健医療福祉サービス提供の質の向上や、国民の健康増進、健康寿命の延伸を通じた社会保障費の適正化並びに、海外に向けても、これらの基盤や体制構築の支援等の実現が期待できる」と述べた。
 また同会長は、データの利活用について重要な点として、「かかりつけ医による適切な管理の下でのデータ収集」を挙げ、そのためにも、「次世代医療基盤法」の意義やオプトアウト、データの使い方等について、国民や医療従事者等に対し、国主導で徹底的な説明を行うことを求めた。
 最後にあいさつした安倍総理は、横倉会長の講演を受け、「『次世代医療基盤法』が施行され、医療情報をビッグデータ化して利活用することが可能となった。こうしたデータをフル活用し、新たな医療技術の開発につなげていけるよう、横倉会長を始めとした医療界の方々と共に努力していく」との方針を示した。

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