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令和元年(2019年)6月20日(木) / 日医ニュース

道永常任理事が理事会副議長に就任

左からワンケッダカー財務担当役員、道永副議長、モントゴメリー議長

左からワンケッダカー財務担当役員、道永副議長、モントゴメリー議長

 世界医師会(WMA)サンティアゴ理事会が4月25日から27日にかけて、チリのサンティアゴで開催され、日医から横倉義武会長(WMA前会長)、松原謙二副会長(WMA理事)、道永麻里常任理事(WMA理事)、星北斗参与(WMA理事)、畔柳達雄参与(医の倫理委員会、社会医学委員会アドバイザー)、澤倫太郎日医総研研究部長、日本医師会ジュニアドクターズネットワークの三島千明、佐藤峰嘉両医師が出席した。全体では、35加盟各国医師会及び関連団体含め約160名の参加であった。
 理事会では、冒頭、本年4月から2年間を任期とする役員、常設委員会委員長の選出が行われ、道永常任理事が女性として日医並びにアジア初のWMA役員となる理事会副議長に推挙され、就任することになった。
 また、理事会議長にはドイツ医師会のフランク・ウルリッヒ・モントゴメリー会長、財務担当役員にはインド医師会のラヴィンドラ・シタラム・ワンケッダカー前会長がそれぞれ選出された。
 議事では、世界中ではしかの感染者数が増加していることを受け、ワクチンに関する理事会緊急決議が採択された(詳細後述)190620c2.jpg
 チリ医師会主催の夕食会には、医師でもあるエミリオ・サンテリス保健大臣が出席し、あいさつを行った。
 また、在チリ日本国大使館の平石好伸特命全権大使主催による夕食会に日医代表団が招待され、懇談を行った。

理事会での審議結果

(1)緊急決議

 はしかの世界的流行を受け、「ワクチンに関する理事会緊急決議」が採択された。
 WMAでは、「予防接種は伝染病に対する効果的で安全な予防対策であり、ワクチンの開発と投与は感染症を根絶し、世界の健康に影響を与える最も重要な介入である」としている。
 決議では、「予防接種の優先化に関するWMA声明」(2012年採択)を再確認した上で、ワクチン投与の危険性に関する根拠のない不正確な主張を非難。また、加盟各国医師会に予防接種スケジュールへの意識を高めるよう求めるとともに、個々の医師にはワクチン接種に係る保護者の不安への対処に努めるよう呼び掛けている。

(2)医の倫理委員会関係

 委員長にはデンマーク医師会のアンドレアス・ラホビング会長が選出された。
 南アフリカ医師会からは「スポーツ医学における医の倫理に関する理事会決議案」が提出された。
 本決議案は、IAAF(国際陸上競技連盟)が女性アスリートのテストステロン値を制限し、基準超過の場合には医学的に数値を低下させる規則を設けようとしていることを非難するものとなっており、声明案としてコメントを求めるため、各国医師会に回付されることになった。
 また、WMAでは、医の倫理に反し、アスリートの健康に害を及ぼす恐れのある検査、治療、薬の投与を受け入れないよう、医師に呼び掛けを行った。

(3)社会医学委員会関係

 委員長にはナイジェリア医師会のオサホン・エナブレレ元会長が選出された。
 クロイバー事務総長の報告では、日医と日本政府の支援の下、本年6月に東京で「Health Professional Meeting(H20)2019」を開催することが紹介された。
 また、本年9月の国連総会ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関するハイレベル会合に横倉会長が参加することが報告された。
 更に、医師主導のプライマリ・ケアを強力に主張する報告書を作成するとして、加盟各国医師会に協力を求めた。
 WMAの範となるCMAAO地域における災害医療ネットワーク構想の進捗状況については、AMDAの菅波茂代表のレポートを基に星参与が報告を行った。
 その中で星参与は、被災地医療支援は、「開かれた相互関係」「自由に参加できるパートナーシップ」「現地主導」の三つを基本とし、WMAのイニシアチブの下に、政府、国連機関、軍、NGO、大学、公益団体、企業などとの連携のあり方を検討し、9月のCMAAOゴア総会で更に議論を深め、アジア大洋州以外のWMA加盟国地域の取り組みにつなげていく考えを示した。

(4)財務企画関係

 委員長には韓国医師会ジュン・ユル・パク政策特別委員会副委員長が選出された。
 2020―2025年の戦略計画案では、「医の倫理」「UHC」「人権と健康」「組織力」の四つの分野について、優先事項が示された。
 「医の倫理」では、ジュネーブ宣言、医の国際倫理綱領、ヘルシンキ宣言とヘルスデータベースとバイオバンクに関する倫理的考察に関する台北宣言の扱い、「UHC」では、医師主導型プライマリ・ケアの推進、健康の社会的決定要因、緊急事態への備え、「人権と健康」では、プロフェッショナル・オートノミー、Health Care in Danger(危機に立つ医療活動)、「組織力」では、ガバナンスの強化、人材育成が挙げられた。
 ①今後の会議開催日程
 ・トビリシ総会(ジョージア):10月23~26日
 ・ポルト理事会(ポルトガル):2020年4月16~18日
 ・コルドバ総会(スペイン):10月21~24日
 ②WMA特別会議(2019年)
 ・Physician 2030:5月13~14日:テルアビブ(イスラエル)
 ・Health Professional Meeting(H20)2019:6月13~14日:東京

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