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令和元年(2019年)11月5日(火) / 日医ニュース

外国人医療の体制整備を目指して

外国人医療の体制整備を目指して

外国人医療の体制整備を目指して

 第2回外国人医療対策会議が10月11日、日医会館小講堂で開催された。
 担当の松本吉郎常任理事の司会で開会。冒頭あいさつで横倉義武会長は、政府の「観光立国」や「新たな在留資格の創設」等の政策を受け、訪日外国人が年々増えていることに触れた上で、「医療は、等しく適切に提供されるべきものであり、外国人に対しても変わりはない」と強調し、外国人医療に対する引き続きの協力を求めた。
 続いて、国の立場として、佐々木裕介厚生労働省医政局総務課長が、外国人患者受け入れ体制に関する厚労省の取り組みについて情報提供を行った。
 外国人患者には、適切な費用負担をしてもらうことが前提であるとした上で、安心して医療を受けてもらうため、医療機関に対しては、「外国人患者の受け入れのための医療機関向けマニュアル整備」「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル整備」「医療コーディネーター等養成研修事業」等の整備を行い、また都道府県には、「外国人を受け入れる拠点的な医療機関の選出」「連絡協議会の設置」「ワンストップ窓口の運営」等の地域での受け入れ体制の強化を行ってもらっているとした。

4都府県医が実情を説明

 続いて、都道府県医師会の報告として、4都府県医師会が実情を述べた。
 豊田秀三広島県医師会副会長は、訪日外国人に関するワーキンググループ(WG)座長の立場から中間報告の説明を行った他、県内の医療関係団体(三師会)により、「外国人医療対策に向けた医療関係団体連絡会議」を開催し、広島県知事に対して、県行政が主導となり、「医療通訳」の利用のための予算設置や対応システムの整備を含めた効果的な整備体制を進めることを求める要望書を提出したことを明らかにした。
 島﨑美奈子東京都医師会理事は、行政と協力して、外国人には、「医療機関・薬局案内サービスのWebサイト」「医療機関受診のための多言語ガイドブック」等による医療情報の提供を、医療機関には、「救急通訳サービス」「外国人患者対応支援研修」等の事業を行っていることを紹介。今後の課題として、「地域特性を考慮した外国人医療連携の構築」「医療通訳の質の向上」等、八つの項目を挙げた。
 堤康博福岡県医師会副会長は、在留外国人に関するWG座長の立場から中間報告の説明を行うとともに今年、「外国人患者受入体制整備に係る検討会議」を開催し、外国人受け入れの拠点となる医療機関の選定を行ったことを報告。
 また、県内の医療通訳団体として福岡アジア医療サポートセンターを紹介し、医療機関には「医療通訳ボランティア派遣」を、外国人には「医療に関する案内」を、双方に対しては「電話通訳」をそれぞれ行っているとした。
 宮川松剛大阪府医師会理事は、モデル事業の一環として行った「来阪外国人患者受入実態調査結果の概要」の他、「外国人患者受入れ拠点医療機関・地域拠点医療機関」の選定状況等について説明した。
 その上で、「訪日外国人医療は、外国人旅行者に対する緊急避難的・人道的支援に過ぎない。外国人旅行者に対しては、『観光立国』『観光先進国』『観光ビジョン』を提唱している国・行政の責務は大きく、その施策推進には、『国民の了解』が必要である」との考えを示した。
 引き続き、医療通訳団体等の立場として、小林米幸特定非営利活動法人AMDA国際医療情報センター理事長から情報提供があり、保険診療における医療通訳の費用は、国が負担するべきとの考えを示した上で、「国籍を問わず、出国のたびに徴収されている国際観光旅客税の使用対象は、現在、訪日外国人の受け入れ整備事業のみとなっている。しかし、今後、日本の産業を支えるために増加が予想される、在留外国人の受け入れ整備事業にも使用できるように法改正すべき」と述べた。
 続いて、松本常任理事からは、自身が委員を務める厚労省の検討会で、都道府県に配置する「ワンストップ窓口」に関し、(1)都道府県に外国人医療に精通した担当者がいるのか、(2)電話で相談した際に、医療機関の紹介だけで済ませたりしないか―等の懸念事項を払拭するよう訴えているとの報告があった。
 更に、2020年4月1日から日医医師賠償責任保険の付帯サービスとして、電話医療通訳サービスを開始する予定であり、詳細が決まり次第改めて報告するとの説明があった。
 その後の意見・質疑では、「質の高い医療通訳及び外国人患者受け入れ医療コーディネーターの認定資格をつくるよう国に働き掛けて欲しい」「外国人医療従事者を生かしてはどうか」等の意見が出され、今村副会長の総括により、会議は終了となった。

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