昨年10月、沖縄県の首里城跡に復元された正殿など8棟の建造物と貴重な収蔵品400点以上が焼失した。ニュース映像で目にした朱塗りの御殿が炎上する様は、県民のみならず多くの人々に衝撃を与えた。
私達の当初の喪失感は大変なものであった。戦後の建造物とはいえ、その存在は県民に大きな意味を持っていた。火災原因の究明は今も続いているが、並行してすぐに再建に向けて動き出した。
それにしても、私達の心を動かしているのは、県外の方々からのご支援だ。各地からの修学旅行生や観光客の方々、クラウドファンディングを利用して寄付して下さる方々、他都道府県医師会員、さまざまな団体を通じて、または個人で、更には海外からのご支援。膨大な修復費用の捻出に困惑を隠せない県民に、これらの浄財は大きな励みとなっている。なんと、12月23日にはその額は20億円を超え、今も各方面からお見舞いのお言葉が添えられ、次々と届いている。
沖縄県は、日本列島で最初に人が定住した地域で、琉球王国時代には海上交易などを基盤に独特の文化・社会観を培ってきた。だが、地理的な要因も加わり、これまで何かにつけ疎外感を感じることもあった。結果、県民は世界遺産とはいえ「私たち(うちなーんちゅ)の首里城」と感じてきた。
しかし今後は、多くの方々とのつながりを実感できた安堵感とともに「みんなの首里城」と認識を新たにしていこう。皆様の温かいお心に衷心からの感謝を。
(和)