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令和2年(2020年)8月28日(金) / 「日医君」だより

第16回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第16回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が8月27日、日医会館でテレビ会議システムを利用して開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長はわが国の現状について、「新型コロナウイルス感染症の感染は収束に向かっていると言える状況にはない」と指摘。日医の対応として、(1)「新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大を見据えたPCR等検査体制の更なる拡大・充実のための緊急提言」(以下、緊急提言)を8月5日に公表したこと、(2)「みんなで安心マーク」の発行を8月7日から開始したこと―等を説明し、引き続きの理解と協力を求めた。

 また、中川会長は奈良県知事から厚生労働大臣に県内の診療報酬の1点単価の引き上げを検討すべきという意見を提出する動きがあることにも言及。8月26日の定例記者会見で明確に反対する考えを示したことを報告するとともに、「今やるべきことは、全都道府県での第二次補正予算に基づく交付金の速やかな交付である。日医としては、引き続き、医療現場の実態調査を丁寧に行い、国に対して、経営支援の要請を行っていく」とした。

 1点単価引き上げの問題に関しては、議事に入る前に、安東範明奈良県医師会副会長からもこれまでの経緯の説明があり、「1点単価を引き上げることは更なる受診抑制を招く恐れがあり、明確に反対したい」として、引き続きの支援が求められた。

 その後の議事では、釜萢敏常任理事が、(1)新型コロナウイルス感染症の直近の発生状況、(2)「新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大を見据えたPCR等検査体制の更なる拡大・充実のための緊急提言」、(3)各都道府県におけるPCR等検査の検査対応能力等に係るアンケート調査の実施、(4)次のインフルエンザ流行に備えた体制整備、(5)「みんなで安心マーク」発行状況―について、説明を行った。

 (1)では、新型コロナウイルス感染症対策分科会で報告された「7、8月の院内、施設内感染は抑制されている」「医療従事者、高齢者、基礎疾患を有する者に、ワクチンを優先的に接種することで合意がなされた」「イベント開催の際の人数制限は9月以降も維持される」などを紹介。その後の質疑では、兵庫県医師会から、新型コロナウイルス感染症を二類相当の指定感染症から外すとの報道がなされていることについて質問が出された。同常任理事は「分科会においては現状、運用上の不都合があれば検討していこうという意見は出されているが、二類感染症相当の指定から外した方が良いとの話は出ていない」とし、引き続き、この問題については慎重に検討していく考えを示した。

 (2)に関しては、7項目からなる緊急提言の内容を概説。質疑においては、行政と集合契約を結び、地域外来・検査センターをつくって対応している地域との矛盾を指摘する意見(愛知、兵庫両県医師会)や、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)の入力作業の困難さの改善を求める意見(群馬県医師会)などが出された。

 (3)については、「今後、国に対する働き掛けを行うためにも、ぜひ、協力をお願いしたい」と要望。また、(4)に関しては、前日に開催された厚生科学審議会感染症部会に提出された資料等を説明した上で、「各地域で実情が異なること、全ての医療機関で同様の対応をすることは難しいこと等を踏まえて、今後の対応を考えていくことが重要になる」とした。

 質疑の中では、受診・相談センター等、国の役割が小さくなっていることを問題視する意見(兵庫県、大阪府両医師会)や「年末年始の対応を考える上で日医が各都道府県の状況をまとめて情報提供して欲しい」(静岡県医師会)、「小児科では時間を分けて来院してもらうことは難しい。小児科医がどのように対応すべきか日医が指針を示して欲しい」(岡山市医師会)といった要望も出された。

 また、インフルエンザの予防接種を受けられると思って来た人が受けられなかった場合に現場で混乱が生じることや、陰性証明を求める人が増えることへの懸念(神奈川県医師会)、「高齢者には10月下旬に、乳幼児には10月初旬にそれぞれインフルエンザの予防接種をすべき」(東京都医師会)といった意見も出された。

 (5)に関しては、当日の12時現在で8102件の発行があることを紹介し、より多くの機関での活用を要請。高知県医師会からは、チェックリストにある職員への朝夕の検温について、その見直しを求める要望も出された。

 (6)では、石川県医師会から行政検査としてPCR検査を積極的に行った医療機関が指導・監査の対象になることへの懸念が示されたことに対して、松本吉郎常任理事は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言解除に伴う令和2年度の指導・監査等について発出された通知の内容を説明した上で、引き続き厚労省とその対応について協議を行っていく考えを示した。

 協議会は最後に、中川会長が緊急提言は「かかりつけ医が患者さんに検査をしたくてもできない」「委託契約が負担となっている」といった意見を踏まえて取りまとめたものであることを改めて説明。その内容への理解を求めるとともに、「みんなで安心マーク」の更なる活用を要請し、終了となった。

 なお、次回の協議会は9月24日に行う予定となっている。

◆映像でご覧いただけます。(メンバーズルーム内の掲載となります)
映像配信 新型コロナウイルス感染症関係

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