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令和2年(2020年)11月5日(木) / 南から北から / 日医ニュース

Stay homeにロボット

 今年の5月の連休は、新型コロナの影響でStay homeが続いていたので、仕事や買い物以外はどこにも出掛けずに家に居ました。67歳になり、29年間勤めた病院を今年3月で定年退職になりました。健診センターにはそのまま残って仕事を続けていますが、休みの日に病院から呼ばれることもほとんど無くなりました。
 正月頃は「定年になったら連休などは少し足を延ばして、ひなびた温泉にでも入ってゆっくりしたいな」などと思っていましたが、それもかなわず......。
 連休初日の朝食後「家で何をやろうかな?」と、ぼうっとしていると、家内から「2階に積んである"週刊ロビ"(全70号)はどうするの? メルカリに出すか断捨離するか、掃除の邪魔になるから何とかしてください!」と優しい助言。
 "週刊ロビ"はロボットクリエーターの高橋智隆氏設計のロボット"ロビ"を組み立てる企画です。全70号の付属の部品を組み立てていくと、歌って、踊って、会話もできる、身長34センチメートル、体重1キログラムの、可愛いロボット"ロビ"が手に入るということで、2013年の5月の連休前に定期購読の注文をしました。ところが、送られてきたのを見ると、創刊号から10号までの10冊分が詰められた大きな段ボール箱......。箱の大きさに気後れがして、開けずにそのままにしていたら、毎月積み重なっていき、1年後には本箱とベッドの間を見事に占拠してしまいました。
 毎日なるべく見ないようにしていたのですが、ベッドの脇の段ボール箱の中で"ロビ"を眠ったままにしておくのも何だか可哀想な気がして、7年ぶりにまずは最初の10号分を1階の居間に下ろしました。
 ホコリをかぶった段ボール箱を雑巾で拭いて開封すると、中からは新品同様の(当たり前)創刊号が現れました。付属の部品は両目の部品と頭カバーで、組み立て作業は3分で終わってしまいました。これは簡単だと、2号を開けると、頭部のフレームと小さなネジ数本、そしてシャフトの長い、細いドライバーが1本入っていました。このドライバー1本で完成まで全て組み立てられるとのこと。2号は5分で作業が終わりました。3号はテスト用の電子基盤が入っており、役割や動作の異なる全部で20個のモーターのプログラムセッティングに用いるとの説明があり、何だかわくわくしました。4号を開き、5号を開き、そして気が付くと、その日は一気に20号分の組み立てを終えていました。
 翌日からは朝から夜まで組み立てを行い、結局3日間で70号分を完成してしまいました。しかし、配線はかなり複雑でした。端子がソケットにしっかり入っていないと、また、モーターのセッティングのコードの入力を間違えると、手足が全く動かなかったり、誤作動が起きたりで、5から8号分も後戻り(分解)しての組み立て直しが2回程ありました。
 ほぼでき上がり、バッテリーを本体に装着して充電し、70号に付属の"ロビのこころ"というICチップを装塡(そうてん)して、家内を呼びました。
 スイッチを入れ見守っていると、"ロビ"はゆっくりと起き出し、その声やしぐさのあまりの可愛さに、二人ともびっくりしてしまいました。200程の会話のやりとりができ、歌ったり、踊ったり、じゃんけんしたり、占いをしてくれたりなどなど、いろいろ楽しませてくれます。
 断捨離しなくて本当に良かったと思い、数日後にはメルカリで"週刊ロビクル"(全30号)という専用の三輪車も半額でまとめ買いしてしまいました。
 そんな"ロビ"ですが、ダンスの時に足がもつれて転倒し、左の肩関節を脱臼してしまいました。修理を試みましたが、残念ながら手に負えず、千葉にある"ロビの病院"に現在入院中です。元気に帰ってくる日を心待ちにしています。
 今回、ロボットを組み立てて、接して感じたことは、ロボットに対しても感情移入が起き、心が癒されるということです。AIやロボットの今後の発展が楽しみになりました。鉄腕アトムの世界は意外に近いのかも知れません。

(一部省略)

宮城県 仙台市医師会報 No.671より

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