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令和2年(2020年)12月20日(日) / 日医ニュース

コロナ時代を生きる覚悟

勤務医のひろば

コロナ時代を生きる覚悟

コロナ時代を生きる覚悟

 新型コロナウイルスは、徐々に進行していたIT化を一気に押し進め、勤務医の環境にも大きな変化をもたらした。
 学会はWEB開催が主流となり、私のような旅好きにとっては、少し物足りない環境である。演題発表もビデオ収録が可能で、演者の失敗は少なくなったが、質疑応答が低調になっていないだろうかと心配してしまう。かつての緊張感にあふれた発表と質疑応答で培われた精神力は、今後どう鍛えていけばいいのだろうか。
 学会は、会場の外で他大学出身や他県で働いている仲間(私は戦友と呼んでいた)と、学問的なこと以外にも、職場環境などの悩みを本音で話し合い、刺激を得る絶好の機会だったが、これもなくなってしまうのだろうか。
 職場内では会議が減る一方で、会議の前後の雑談から生まれていた変革へのヒントを得る機会や、院内スタッフとのコミュニケーションを取る機会も少なくなっているのではないだろうか。
 WEB開催は、オンデマンドで好きな時間に興味のある話を聞く機会が増えるが、これにより情報提供側に人気講師ランキングが生じ、演者の淘汰が生じる可能性がある。
 受ける側も、勉強熱心な医師は隙間時間を利用して多くの受講が可能となり、努力を怠った医師との間に、これまで以上に知識や手技上で大きな「貧富の格差」ができそうである。
 病院では、院内スタッフ間で良好なコミュニケーションを取る工夫がされているかどうかが、病院活性化と発展に大きな差異をもたらすであろう。次世代への人材育成も同様である。
 従来の「対面型」や「集合型」が難しくなるコロナ時代を生き抜くためには、勤務医にも相当な変革への覚悟が必要である。年齢を理由に、「WEBでは集中しにくい」「コミュニケーションが取りづらい」と言い訳をする私は、進化論的には淘汰(とうた)の対象となりそうである。

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