閉じる

令和3年(2021年)3月4日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について

 中川俊男会長は3月3日の定例記者会見で、1都3県に発令されている緊急事態宣言に関して、3月7日に解除するか否かの議論が大詰めを迎えている中、宣言解除に対する日本医師会の見解を説明した。

 中川会長は冒頭、緊急事態宣言発令以降、国民の努力と協力により、新規感染者数が明確に減少していることに感謝の意を示した。その上で、現状については1都3県の各知事から、宣言解除に慎重な発言がなされ、徹底的に感染者を抑え込んだ上で解除しなければ4月以降に第4波を招く恐れがあり、本格化するワクチン接種の妨げになりかねないことから、積極的疫学調査が可能なステージ2のレベルまで感染者数を抑え込む必要があるとして、緊急事態宣言を今解除することに慎重な姿勢を示した。

 その一方で、政府が経済活動などさまざまな状況を踏まえながらぎりぎりの決断、判断をしていることに理解を示しつつ、「今回を最後の緊急事態宣言にしなくてはならず、第4波は絶対に招いてはいけない」と強調し、政府に対して、緊急事態宣言の解除について、慎重かつ冷静で大局的な判断を改めて求めた。

 中川会長はまた、緊急事態宣言が、いずれ解除された場合に向けて(1)感染防止対策の徹底、(2)新型インフルエンザ等対策特措法の活用、(3)感染再拡大対策の徹底、(4)病床確保―という四つの提言を示し、その内容を説明した。

 (1)では、緊急事態宣言が解除されれば、社会の雰囲気が緩み、感染防止対策がおろそかになるとの懸念を示すとともに、昨年春の緊急事態宣言以降の第2波、第3波となった経緯を説明。緊急事態宣言の解除に当たり、なお一層の移動の自粛と一人ひとりの感染防止意識の徹底の継続のためにも基本的な感染防止対策を復習する必要があるとし、日本医師会としても、正しい感染防止行動の啓発に努めていくとの意向を示した。

 (2)では、2月13日に施行された改正特措法は、緊急事態宣言前後の対策として「まん延防止等重点措置」を創設し、必要な場合、政府が都道府県を対象区域として公示し、知事が事業者や住民に対して必要な措置を講じることができることとされていることから、日本医師会では緊急事態宣言の継続か解除かの二択ではなく、まずは解除後の「まん延防止等重点措置」を適用し、少しずつ重点措置を軽減してゆくべきとの考えを示した。

 (3)では、幅広いPCR等検査や濃厚接触者等への「前向き積極的疫学調査」に加えて、潜在的な感染源を同定するための「後ろ向き積極的疫学調査」、いわゆる「深掘積極的疫学調査」の実施により、感染再拡大を防止すべきであるとした。

 また、(4)では、日本医師会と病院団体で設置した「新型コロナウイルス感染症患者受け入れ病床確保対策会議」での議論を受けて、重症者病床は特定機能病院と地域の基幹病院などとする等、厚生労働省から地域の医療機関の役割に関する事務連絡が発出されたことや、日本医師会から都道府県医師会に対して、新型コロナウイルス感染症の回復期の患者を受け入れる後方医療機関の確保のために退院基準の周知徹底を依頼したこと、厚生労働省医政局にも同対策会議のメンバーに加わってもらい、高齢者施設、福祉施設等でのクラスター対応について重点的に議論したこと等を報告した。

 その他、ワクチン接種に関しては、国からのワクチンに関する情報提供が十分でないことや、ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)についても、分かりづらい等さまざまな課題があると指摘。現場に混乱を来さないよう、国に対して、より一層の正確で迅速に必要な情報提供とシステムの改善を求めた。

 また、日本医師会としても供給、品質・有効性・安全性など、確定している情報を「新型コロナワクチン速報」としてホームページに掲載していることを紹介するとともに、ワクチンの予防接種を受けるかどうかの判断に資するパンフレットを近々公開する予定であることを明らかとし、その活用を求めた。

 最後に、中川会長は「新型コロナウイルス感染症との闘いが重大な局面を迎えている。徹底的に感染者数を抑え込み、ワクチン接種を全国的に開始することで、第4波の襲来を撃退して、一気に収束への突破口を見つける、今が最大のチャンスである」と強調。国民に対して、引き続き、不要不急の外出を避けるとともに、マスクの着用、手洗いなど、基本的な感染防止対策の徹底を改めて呼び掛けた。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる