日医定例記者会見 4月14日
中川俊男会長は、新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について、(1)直近の感染状況、(2)変異株、(3)ワクチン接種、(4)病床の確保―の4点から日本医師会の考えを説明した。
(1)直近の感染状況
中川会長は、まず、緊急事態宣言が先行解除され、現在感染が急拡大している近畿2府1県の状況に触れ、「特に大阪府においては、新規感染者がまさに指数関数的に増加している」と述べるとともに、「既に"必要な時に適切な医療を受けることができない"という医療崩壊が始まっている」とした。
その上で、「このような状況は、3週間遅れで緊急事態宣言を解除した首都圏1都3県においても発生する恐れがあると考えなければならない」と指摘。東京では変異株の急増等が起きており、首都圏の新規感染者数が増加すると、全国に波及する恐れもあるとした。
これらを踏まえ、このような状況では病床の確保を進めても、その逼迫(ひっぱく)は避けられないことを強調。「何としても感染者数を抑え込むことが必要」と述べた。
加えて、早めに手を打つという観点から、状況によっては「まん延防止等重点措置」ではなく、「緊急事態宣言」の発令が必要になるとの見方を示し、結果的に発令することになるのであれば、できるだけ早く発令する方が効果が大きいことなどを説明した。
(2)変異株
中川会長は、実効再生産数や小児への感染性など国立感染症研究所の変異株に対する見解を紹介した上で、感染予防策については、「変異株であっても、今まで以上に3つの密を避けること、特に室内の換気を頻繁に行うことが重要」と述べるとともに、「マスクをしていてはどうしてもできない動作以外は決してマスクを外さない心構えが必要であり、手洗いも初心にかえって徹底しなければならない」と呼び掛けた。
(3)ワクチン接種
4月12日から一部の地域において高齢者の接種が始まったワクチンに関しては、現時点で供給されているワクチンはまだ少ないものの、「必ず順番が回ってくる。その時までしっかりと感染防止対策をして頂きたい」とした。
一方で、優先接種の対象者である医療従事者への接種が進んでいないことから、接種を行う医師がまずワクチン接種を受けられるよう、強く要請。併せて接種機関においては、既に届いた高齢者向けのワクチンの一部を、接種を担当する医師を始め、医療従事者に接種することが認められていることを全国の市区町村に徹底すること及び、ワクチンの供給計画をアップデートし、市区町村と共有することを国に求めた。
(4)病床の確保
日本医師会は、病院団体と共に「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を設置して病床確保に努めてきたが、今年に入り全国で新たな確保病床として2800床が増えたことや、後方支援病床の確保を進めていることを説明。また、同対策会議で重視する後方支援医療機関については、「東京都では、約100医療機関が手を挙げており、その大部分は民間病院である」と述べた。
更に、入院患者の退院基準についての情報共有に努めているとした他、日本医師会として、都道府県医師会と病院団体との協議会が後方支援病床を確保したり、クラスターが発生した医療機関や介護施設に看護師や介護職員を派遣したりする場合に、財政支援を行うことを発表した。
中川会長は最後に、大阪府や東京都で通常医療を制限せざるを得ない状況になっていることに対し、「どんな手術も入院も、当事者である患者にしてみれば、緊急で重大な事態である」と強調。いくら病床を確保しても、新規感染者数が減らなければ終わりが見えないとして、改めてワクチンが行き渡るまで感染予防対策を徹底することを呼び掛けた。
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