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令和3年(2021年)9月20日(月) / 日医ニュース

ICTを用いた地域医療介護連携ネットワーク「サルビアねっと」を立ち上げて思うこと

勤務医のひろば

ICTを用いた地域医療介護連携ネットワーク「サルビアねっと」を立ち上げて思うこと

ICTを用いた地域医療介護連携ネットワーク「サルビアねっと」を立ち上げて思うこと

 これまで、全国で構築されてきた、ICTを用いた地域医療ネットワークのほとんどが十分な機能を果たせず消滅する状況の中で、2019年3月に「サルビアねっと」はスタートした。
 「サルビアねっと」は横浜市鶴見区(人口約30万人)にある病院、医科・歯科診療所、薬局、訪問看護、介護サービス事業所などの医療・介護情報を共有し、迅速な地域連携を行うためのEHRネットワークである。
 2018年度の横浜市の補助事業として計画され、将来的には横浜市全体(人口377万人)で共有できるシステムを目指して、地域の医師会にも賛同頂き、当院が手を挙げて開始された。
 構築のコンセプトとして、医療情報だけでなく介護情報も網羅すること、都市型であること(住民が利用する医療・介護施設等が多数存在すること)、自動入力であること、多職種が利用可能であること、閲覧が容易であること、セキュリティーが保たれること、等を掲げて開発した。
 開始時には、参加施設61(病院3、医科診療所15、歯科診療所7、薬局26、介護関係10)、登録住民5912人であったものが、対象地域を隣接する横浜市神奈川区にも拡大し、2021年6月現在、参加施設113(病院9、医科診療所38、歯科診療所5、薬局45、介護関係16)、登録住民10640人、閲覧回数1428/月となった。
 参加施設は利用料負担には了解してくれるが、初期導入費用を負担してまで入ろうとせず、住民も利用料を払ってまで登録しようとは思わない。広めていくのは補助金頼みだが、行政を説得して継続的に資金確保することは容易ではない。デジタル庁の設置、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進政策は追い風ではあるが、資金確保と拡大にはかなりの情熱としっかりとした運営組織をつくることが肝要である。
 「サルビアねっと」は一般法人を設立し協議会が運営しており、私が代表理事を兼務している。今後、大きく発展する余地はあるが、まだまだ未完成であり、軌道に乗るまでもう少しの辛抱が必要だと諦めている。

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