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令和3年(2021年)12月5日(日) / 日医ニュース

国民の生命と健康を守るため適切な財源を確保する決議を採択

国民の生命と健康を守るため適切な財源を確保する決議を採択

国民の生命と健康を守るため適切な財源を確保する決議を採択

 第16回国民医療推進協議会(以下、国医協)総会が11月9日、日本医師会館小講堂で41団体のうち34団体の参加の下、WEB会議により開催され、国民の生命と健康を守るため、適切な財源を確保する決議(別掲)を全会一致で採択した。

 総会は松本吉郎日本医師会常任理事の司会で開会。冒頭、国医協会長としてあいさつを行った中川俊男日本医師会長は、10月31日に行われた衆議院選挙の結果を振り返り、「与党が過半数の議席を獲得したことで、今後も引き続き安定的な政権運営が行われるものと思う」として、期待感を示した。
 また、岸田文雄内閣総理大臣が、10月4日の就任会見で、(1)医師、看護師、介護士等、社会の基盤を支える現場で働く人々の所得向上に向け、公的価格のあり方の抜本的見直しを行うと明言した、(2)新型コロナウイルス感染症対策として、「医療難民ゼロ」「ステイホーム可能な経済対策」「電子的ワクチン接種証明の活用と検査の無料化・拡充」「感染症有事対応の抜本的強化」からなる"岸田4本柱"を掲げている―ことにも言及。「医療界として、一致団結して協力していきたい」とした。
 その他、最近の新型コロナウイルス感染症の感染状況についても触れ、「新規感染者数は減少してはいるものの、今後も緊張感をもった徹底的な感染防止対策が必要だ」として、引き続きの協力を求めた。
 続いて、国医協の3名の副会長からあいさつが行われた。
 堀憲郎国医協副会長(日本歯科医師会長)は、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、近年の財政的な効率性を重視した社会保障政策に足りなかった部分を明らかにした」とした上で、具体的な課題として、平時から有事への切り替え、地域における職種間連携の推進を挙げ、その早急な改善を要請。今後も、医療界が連携し、国民の生命と健康を守る立場から提言していくことの意義を強調した。
 山本信夫国医協副会長(日本薬剤師会長)は、「コロナ対策が最優先課題であることは今後も変わりはない。その意味でも、医療提供体制ないしは医薬品の供給体制を維持していくことが大事になる」と述べるとともに、そのための支援を医療界と協力しながら、政府に対して引き続き求めていきたいとした。
 福井トシ子国医協副会長(日本看護協会長)は「コロナ禍により、医療提供体制の脆弱(ぜいじゃく)な部分が社会的にも認知されるようになった」とし、「その解決のためにも今後は有事にも対応できるよう、平時から十分な体制を構築しておくことが求められる」と指摘。その体制に対する適正な評価も必要だとして、引き続き参加団体と共に必要な財源の確保を求めていく考えを示した。
 議事では、今村聡日本医師会副会長が持続可能な社会保障制度の確立に向けて、今回の総会を開催した趣旨を説明した。
 その中で、9月28日に決定された「令和3年10月以降の医療機関等における感染防止対策支援の継続及び新型コロナウイルス感染症の診療等における特例的な評価の拡充」について言及。「今後、各地域において、医療機関がより一層連携し、新型コロナウイルス感染症への対応を進めていく体制を構築していくために、必要な支援が盛り込まれたものと受け止めている」と述べる一方、「地域の医療提供体制は依然として厳しい状況にさらされており、各医療機関が地域の実情にきめ細やかに応えるためにも、政府に対して引き続き十分な支援を強く要請しなくてはならない」として、決議を取りまとめることを提案。決議案の全文を読み上げ、参加団体に対して賛同を求めた。
 引き続き、協議に移り、決議案は全会一致で採択され、総会は終了となった。
 今後、国医協では本決議を基に、政府に対してその実現を強く求めていくとともに、都道府県医療推進協議会に対して、本総会で採択された決議と同様の決議を採択することや、地方議会会期中の都道府県には、地方議員・議会に対し、地方自治法第99条に則った意見書を国会等に提出することを要望していくことにしている。

財務省の主張に反発し、プラス改定を要求―中川会長

 その後に開催された記者会見の中で、中川会長は11月8日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会で財務省が「診療報酬(本体)の『マイナス改定』を続けることなくして医療費の適正化は図れない」との考えを示したことに触れ、「コロナ禍において、地域の医療提供体制は依然として厳しい状況にさらされている。マイナス改定とすることは到底あり得ず、我々としては当然『プラス改定』にすべきと考えている」と強く反発した。
 中川会長は、「平時の余力がすなわち有事の対応力に直結する。有事になってから慌てて補助金を投入しても即応できるものではない」と指摘。
 その上で、「財務省は『補助金収入を足した計数は47兆円程度と見込まれ、医療機関の経営実態は近年なく好調』としているが、逆に言えば、補助金がなければ赤字ということだ」と反論するとともに、「補助金頼みの経営は非常に不安定である。本来は当然、診療報酬のみで経営が成り立つようにしなくてはならず、こうした観点からもプラス改定が必要である」と強調した。
 また、補助金については、「コロナ禍で特例的に実施され、医療機関にも他業種と同様に支給されたものである。医療機関ではこの補助金を臨時的な支出であるパーテーションの設置や導線の分離など、感染対策に使用している」と説明し、理解を求めた。

決議
 新型コロナウイルス感染症禍において、今後も緊張感を持った徹底的な感染防止対策が必要である。
 国民の生命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症対策における有事の医療提供体制と、新型コロナウイルス感染症対策以外の平時の医療提供体制は、車の両輪として何としても維持しなくてはならない。
 よって、適切な財源を確保するよう、本協議会の総意として、強く要望する。
以上、決議する。
令和3年11月9日
国民医療推進協議会

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