閉じる

令和3年(2021年)12月20日(月) / 日医ニュース

コロナ禍で急増する女性の負担

勤務医のひろば

コロナ禍で急増する女性の負担

コロナ禍で急増する女性の負担

 新型コロナウイルスの出現により、医療従事者だけでなく、国民全体が大きな負担を強いられている。
 その中でも、特に女性への負担の増加は深刻で、2020年11月に内閣府男女共同参画局「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」から緊急提言が発表された。
 自粛を余儀なくされたサービス業には女性が多く、収入が激減していること。家庭内暴力(DV)の相談件数の増加、学校や保育園の休みに伴う家事・育児負担の増加、女性の自殺者数の増加。これらの課題に対して、私たちは十分に支援・対策ができていただろうか?
 2021年8月にコロナ下の女性への影響について経過報告が発表されたが、依然厳しい状態が続いている。
 最初に緊急事態宣言が出された2020年4月には、雇用者数が男性35万人減、女性74万人減となった。現在、少しずつ改善してきてはいるが、まだ以前の水準には達していない。
 飲食・宿泊業界の非正規雇用者の割合は男性19%に対して女性53%と、女性が圧倒的に多く、収入が不安定になっている。
 2020年はDVの相談件数が前年度の1・6倍、性暴力被害の相談件数も30%増加した。女性の自殺者は、一人暮らしより同居人のある人で多く、特に主婦と学生(特に高校生)で増加している。
 医療だけで全てを解決することはできないが、コロナ禍で急増する国民の負担について私達は真剣に考えなければならない。どんな主訴であってもメンタル不調がないか確認すること。経済的な理由で通院が困難にならないよう、生活保護を含めた社会福祉制度の情報提供を行うこと。ジェンダー(性別)に基づく差別・偏見・家事や育児の押し付けを改善していくこと。
 新型コロナウイルスの対策や政策では、これまで以上に社会的弱者への影響を考慮する必要がある。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる