開業して早いもので30年以上になりました。専門は耳鼻咽喉科ですが、患者さんの年齢層は幅広く、赤ちゃんから高齢の方まで来られるので、日々新鮮な刺激を受けています。
小さい子どもの場合は中耳炎にかかることが多く、どうしても痛い処置をやらないといけません。その時は当然大泣きをするのですが、何回か通っているうちに泣かずに診察を受けることができると、帰り際にお母さんに「今日は泣かんかったー」と自慢げに言ったりすることがあり、それにお母さんも応えて「うん、がんばったねー」とのやり取りをよく聞くことがあります。そんな時は「病気して痛い目に遭いながらも、それを乗り越えて成長してるんだな」と心がほっこりします。
また、高齢の女性の方に多いのですが、初対面のはずなのに診察室の椅子に座るや否や「センセ、あんなァ~。私しゃなァ~。耳が聞こえんようになってなァ~」と親しげに話してこられる方もおられます。「はて? この人とはどこかでお会いしたんだっけ?」と考えるのもつかの間、そういう方とは一遍に距離が縮まります。
年に1回、職員を連れて旅行に行くことにしていて、数日間は休診にしますが、患者さんに「せっかく来たのに休みだったがな~」と叱られることがあり、ちょっとだけうれしい気持ちになります。「こんな自分でも頼られてるんだなァ」と。もうちょっと頑張らねばと元気が湧いてきて、これからも気軽に来てもらえるご近所のお医者さんとして、診療を続けていきたいです。
(伯耆丸)